最後にたった一人残っていた小樽のジャンプ少年の中学卒業とともに、「小樽ジャンプ少年団」は、存続の危機を迎えることになり、OB有志が立ち上がり、団員募集の活動に本腰を入れ始めた。
小樽は、日本で初めてスキージャンプが行われた土地として知られ、日本初の固定式シャンツェ設立や夜間照明設備、通年練習が可能なサマージャンプ設備を完備するなど、常に先端設備を導入し、日本のジャンプ界をリードしてきた。かつては、有力選手を輩出し、ジャンプ王国を築き上げていた。全国中学校・高校スキー大会や全日本スキー選手権大会、オリンピックなどで小樽の選手は日本中の注目を集め、ジャンプ王国小樽の名を高めていた。
小樽ジャンプ少年団は、札幌冬季オリンピックの翌年1973(昭和48)年に発足。1933(昭和8)年に完成した潮見台シャンツェ(潮見台2)を練習場として、多くの子供たちが、オリンピック選手を夢見て、連日のジャンプ練習に挑んでいた。昭和50年代の最盛期には、120名ほどの団員を誇り、国内外で活躍する選手を数多く輩出してきた。
しかし、昭和60年代前半から団員数が減少し始め、現在では、桜中学校の本間康太君(3年)がたった一人の団員となっている。本間君は、中学1年から3年間、一人で活動し、冬期の練習は、余市少年団と合同で行っていた。
この最後の団員である本間君が、来春に中学卒業を迎えて、団員がゼロになることから、OB有志10人が立ち上がった。OB関係者らの協力を得て、現在、小学生4人の入団希望者が集まった。
このため、OB有志と小樽ジャンプ少年団では、雪が降ったらすぐに練習が始められるように、11月10日(土)13:00から、入団希望者とともに潮見台シャンツェの草刈や階段の修復作業を行うことになった。参加者たちをジャンプのスタート地点まで上げ、少しでも早くジャンプの感触を味わってもらおうとしている。
OB有志の石川稔さん(39)は、「選手も減ったが指導者も減ってしまった。来春に団員が0人になってしまうことから、OB有志が集まって動き出した。小樽はジャンプ王国と言われたこともあるので、なんとかスキージャンプを通して、小樽を全国にアピールしたい。今シーズンの練習がスタートするまでには、さらに団員数を増やしたい」と、多くの入団希望者を募っている。(写真提供:小樽ジャンプ少年団OB) 問合せ:090-2692-8991 石川
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