幕末から明治にかけて、大衆から強い支持を受けた浮世絵師・三代豊国の最後の大作を飾る特別展「誠忠義士傳-三代豊国の世界」が、11月7日(水)から、小樽市総合博物館(手宮1)で開かれる。
三代豊国(さんだいとよくに)の「誠忠義士傳(せいちゅうぎしでん)」(1864・元治元年)は、江戸時代中期に発生した主君仇討ち事件「赤穂浪士」物語を題材にしている。「忠臣蔵」の登場人物を、当時活躍していた歌舞伎俳優の似顔絵として描いた浮世絵で、絵画上の「オールスターキャスト」版と言われている。
特別展では、忠臣蔵の登場人物「堀部安兵衛(ほりべやすべえ)」や「大石蔵之助(おおいしくらのすけ)」、「高師直(こうのもろなお)」などの四十七士(萱野三平を含む48人)の浮世絵など、同館の特筆コレクションの全54作品が、道内で初めて公開される。
四十七士(萱野三平を含む48人)の浮世絵には、史実の人物名に戯作のエピソードを含んだ詞書が添えられ、いろは仮名が一字づつ付けられている。同館が分かりやくすまとめた解説もあり、誠忠義士傳とともに日本の伝統芸術・浮世絵の魅力を再認識させるものとなっている。
「初版の鮮やかさや、様式の美しさが感じられる。忠臣蔵は有名なので、浮世絵の初心者でも楽しめると思う。じっくり登場人物たちを見てもらいたい」(石川直章学芸員)と、来館を呼びかけている。
特別展「誠忠義士傳-三代豊国の世界」は、11月7日(水)~20年1月28日(月)9:30~17:00。入館料(冬期:一般300円・高校生と市内在住70歳以上の高齢者150円)のほか、特別展料金100円が必要。中学生以下は無料。(浮世絵写真提供:小樽市総合博物館)
また、11月23日(金・祝)13:30~14:30には、河野元昭氏(東京大学名誉教授・秋田県立近代美術館館長)を講師に迎え、「浮世絵の美ー三代豊国と後期浮世絵」の記念講演会が行われる。入館料のみ。問合せ:0134-33-2523
◎「誠忠義士傳-三代豊国の世界」