公立病院改革ガイドラインの骨子案が、21日(金)に開かれた総務省の「公立病院改革懇談会」(長隆座長)で議論された。
「懇談会における意見を踏まえた公立病院改革ガイドライン(骨子案)」は、第1 公立病院改革の必要性、第2 公立病院改革プランの策定、第3 公立病院改革プランの実施状況の点検・公表、第4 財政支援措置の4つからなっている。
公立病院改革の必要性で、公立病院の改革を目指す、基本的な考え方として、「公立病院改革の究極の目的は、公・民の適切な役割分担の下、地域において必要な医療提供体制を確保することにある」と位置づけ、「公立病院の果たすべき役割は、端的に言えば、『地域において提供されることが必要な医療のうち、採算性等の面から民間病院による提供が困難な医療を提供すること』にある、と位置づけられてよいか」とし、具体的には、過疎地域における一般医療の提供、高度・先進医療の提供、不採算・特殊部門に関わる医療の提供、医師派遣の拠点としての機能の4つが考えられるとしている。
公立病院改革には、経営効率化、再編ネットワーク、経営形態の見直しの3つの視点が必要としている。
公立病院改革プランの策定では、病院事業を実施する地方公共団体は平成20年度内に「公立病院改革プラン」を策定し、病院事業経営の改革に総合的に取り組む。改革プランの対象期間は、経営効率化に関する部分は3年程度、再編・ネットワーク化及び経営形態の見直しの実施計画に関する部分は5年程度の期間を標準とすることとしてはどうかと提言している。これに対し、国が指導的な立場で政策的にも財政的にも期間を限定して実施していかなければ進まないとの意見が付けられている。
また、一般会計負担の考え方を明確にわかりやすくすべきではないか。経営に関する目標設定の前提として、今後の一般会計繰入の基準・水準を明確にすることが重要ではないかとの意見も付けられている。
経営の効率化での数値目標は、不採算部分への一般会計繰入を前提とすれば「経常黒字」の達成が図られて然るべきではないか。地域に他に民間病院が立地している場合、「民間病院並みの効率性」が追求されるべきではないか。特定の経営指標が著しく低水準にある事業体に対し、特に警告を与えるような内容も盛り込むかなどが提言されている。
経営形態の見直しとして、考えられるものは、民間譲渡・指定管理者制度導入・地方独立行政法人化・地方公営企業法全部適用としている。特に地方公営企業法の全部適用については、全部適用において人事権、予算権の大幅な権限が与えられたとしても、実際のところ職員の採用については人事委員会、予算や契約については議会の承認を得なければならず、制約を受ける。法全部適用であっても管理者側が実質的に予算や人事の権限を有しているか否かをチェックする必要があるのではないかとして、今後は、全適を認めない方向にある。
また、公立病院は全般的に過大投資傾向にあり、抑制するシステムを講じる必要があるのではないか、病院側も償却費の負担が経営上の重荷になっている場合があるとの意見も付けられている。
このガイドライン骨子案から小樽の病院問題について見えるのは、病院経営は、民間病院並みの効率性が求められ、一般会計からの繰入が限定され、過大投資傾向にある豪華公立病院は抑制すべきで、病院経営の経営形態では、地方公営企業法の全部適用は認めないという方向性が読み取れる。
これは、小樽市が進める156億円の豪華病院新築と、地方公営企業法の全部適用を認めず、一般会計からの繰入も制限するという厳しい内容となることが見て取れる。いわば、小樽市の進める新病院建設と病院経営の見直しは、国の公立病院改革の方向性とは、全く逆の方向で進められていることが明らかとなっている。
同懇談会では、11月中旬に、この骨子案を下にしたガイドラインを策定することにしており、小樽市の病院問題にも多大な影響を与えることになる。