鎮座140年を迎える小樽総鎮守の住吉神社(住之江2)の記念事業「新神輿蔵建立」が、進められている。同時に、同社が所有する馬車の修復も行われており、この馬車が100年前にヨーロッパで作られた貴重なものだということが分かった。
8月から本殿横で新神輿蔵の建設工事が始まると同時に、修復工事が行われている馬車は、1933(昭和8)年から1934(昭和9)年頃に、住吉神社が購入したものと言われている。当時の金額で1円と言われ、高価なものではないかとされていた。
長い年月が経ち、馬車の傷みは激しかったため、修復作業は、一度分解してから行われている。この解体作業で、この馬車の貴重さが改めて判明し、関係者を驚かせている。
サドル(車軸)から1903年という数字が現れ、馬車のソファからは「Made Dec 1906」と書かれた文字も発見された。このことから、馬車は100年前のものと推測される。
さらに、馬車本体は、一枚板の曲線形となっており、高貴な人を乗せた馬車の作り方だという。100年前の日本にはない技術が使用されており、イギリスかベルギーで作られたものではないかという。
日本に輸入された経緯は不明だが、住吉神社は、1933(昭和8)年から1934(昭和9)年頃に、宮内庁から1円で購入したことが分かっており、星野昭雄宮司は、「それなりの身分の方が乗られていたのでは」と話している。
馬車の修復と同時に神輿の修復作業が、伝統ある神輿造りで知られている千葉県市川市行徳中台製作所の職人の手により行われている。花園連合町会から寄贈された里神輿で、当時は、祭りで大暴れした神輿だという。このため、痛みも激しいことから、ほとんど新しい材料を使っての修復となっている。
新神輿蔵が誕生する12月10日には、修理されお色直しした高価な馬車と神輿がお披露目されることになっている。現在、当初目標額約6,000万円の約90%の協賛金が集まっているが、北京五輪の影響で金属などの資材の物価が上がり、神輿蔵の建設工事費が約7,000万円に増えることになった。このため、記念事業発起人会では、協賛金集めにさらに力を入れている。(写真提供:住吉神社)
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