赤灯台が設置され、小樽港入り口を守る北副防波堤の修復工事が、小樽開発建設部(潮見台1)により、着々と進められている。
北副防波堤は、北防波堤(1,289m)の先端に、1935(昭和10)年に新たに設置された防波堤。北防波堤は、廣井勇・初代小樽築港事務所長の陣頭指揮により、1908(明治41)年に建設された。一世紀にわたり小樽港を守り、北海道遺産に指定されている現役の防波堤。
この北防波堤に続き、伊藤長右エ門・2代所長が、船舶が小樽港に入港する際の横波を防ぎ、安全を確保するために、1929(昭和4)~1935(昭和10)年までに205mを建設した。さらに、長内戦治・19代所長が、1973(昭和48)年に、60mの延長工事を行い、現在の265mに至る。その後、嵩上(かさあ)げ工事も行われた。北防波堤と北副防波堤は、小樽の当時の土木技術水準の高さを示すものとなっている。
北副防波堤は、建設されて72年以上も経過しており、老朽化も進んでいたが、今年1月の低気圧による大しけの荒波で、嵩上(かさあ)げした上部コンクリート部分の一部・長さ30m×幅11m×厚さ1.4mが損壊し、海底に沈んだ。
このため、小樽開発建設部築港事務所(山田悦郎所長・築港)では、2005(平成17)年から進めている北防波堤の「平成の大改修」の工事と同時に、この北副防波堤の修復工事を行なっている。
修復工事は、7月16日からスタートし、25日から海底に流されたコンクリートの撤去作業が行われ、現在、損壊部分に型枠を設置し、そこにコンクリートを流し込む作業が行われている。
損壊した約30mを5つのスパンに分けてコンクリート合計340立米を流していく。現在は、4つ目のスパンの作業が行われている。この工事現場には、船でしか近づく事が出来ないため、本社記者は、小樽開発建設部築港事務所の協力で、8月21日(火)10:00から、同所の監督測量船「ひまわり」(19トン)に乗って現場取材を行った。
この日の午前中は、灰色の曇り空で覆われ、時折強い風が吹き付けていたが、「ひまわり」は予定通り築港2の事務所を出発し、約5分ほどで現場に到着した。バケットに入れられたコンクリートが、台船で工事現場まで運ばれ、防波堤に横付けしている大型クレーン船で吊り上げ、設置した型枠にコンクリートを流し込む作業が次々に行われていた。
救命胴衣を着けた約10人の作業員たちが、防波堤の上でコンクリートを流し込む位置の指示を出し、その作業を何回も繰り返していた。黒ずんだ古い堤防とコンクリートの新しい堤防が、新旧のコントラストを作り、作業員たちは、鉄筋の上をわたり、懸命の作業を続けていた。
この修復工事は、今年度の北防波堤の「平成の大改修」とともに予算計上されており、2つ合わせて約1億円。このうち、北副防波堤の工事費は約2,000万円で、小樽の近藤工業(若竹3・佐藤慶一社長)が請負業者となり、作業を進めている。天候に左右されることから、波の状態で作業の進み具合が変わるが、予定では、8月末に終わる予定となっている。
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