小樽市築港にある大型商業施設「ウィングベイ小樽」を所有・運営する株式会社小樽ベイシティ開発(OBC・中村憲正代表取締役)は、8月10日(金)、唯一の債権者である株式会社ポスフールに、借金の棒引きを目的とした特定調停の申し立てを、札幌地方裁判所に行った。
OBC(小樽ベイシティ開発)は、1991(平成3)年11月に同施設の所有と運営を目的に設立され、1999(平成11)年3月にマイカル小樽がオープンした。しかし、マイカルの経営破たんに伴い、資金繰りが悪化し、2001(平成13)年に東京地方裁判所に民事再生の申し立てを行い、同年10月に手続開始の決定を受けた。
再生計画案では、認可決定確定後1年以内かつ一般再生債権に対する支払前に別除権協定を締結するとされていたが、予定時期までに協定を締結することが出来ず、OBCに対する再生手続きは2005(平成17)年に協定未定のまま終結された。この間に、日本政策投資銀行の債権がポスフールに譲渡され、ポスフールが194億円の唯一の別除権付債権者となっていた。
OBCは、再生手続終結後も、ポスフールとの協議を申し入れたが、不調に終わり、経営状態は益々悪化し、商業施設としての売上げも、1999(平成11)年のオープン時320億円から、2006(平成18)年の180億円までに減少した。
OBCによると、確定再生債権(元本)は292億円で、すでに元本の98.5%の免除を受けている。ポスフールは、日本政策投資銀行が持っていた債権133億円を譲り受け、旧(株)マイカル北海道の61億円を合わせ、別除権付債権194億円を所有している。今回、この194億円の債権を別除権協定の締結で、棒引きにすることを狙っている。
中村代表取締役は、「特定調停の申し立ては、民事再生の最後の段階で、新しい街づくりの第一歩となる。ポスフールとケンカするのではない。これを終えなければいけない。民事再生は何回も出来ることではないので、今回がラストチャンス。うまくいかなければ潰れるということではない。そんな無責任なことはしない」と、ウィングベイ小樽を無担保物件にし、新たなテナントを積極的に導入することにしている。
山田勝麿小樽市長は、「ウィングベイ小樽の施設は、本市の市民生活にとって必要な施設として定着していることから、今回の特定調停の申し立てで、OBCの経営再建が前進することを期待しております」と、コメントを発表した。
しかし、小樽市が鳴物入りで誘致し開業した巨大商業施設の関係会社は、次々に破綻した。マイカル本社の破綻、OBCの破綻、ヒルトン小樽の破綻と、破綻の連鎖が続き、巨大施設からは、テナントが次々と脱出し、幽霊ビル化している。この一大失敗作は、まさに正念場に立たされることになった。
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