築54年も経過した市立小樽病院の老朽化した建物の環境を少しでも改善しようと、病院職員による「ペンキ塗り隊」が、このほど結成され、7月23日(月)から塗装作業が始まった。
市立小樽病院(鈴木隆病院長)の建物は、築後38年から54年経過しており、壁のひび割れや腐蝕した天井などで老朽化は進む一方だ。市は、現在、この病院の新築統合を進めているが、放射線科では、今年春に、自らの手で部屋の塗装を手がける動きが始まった。この活動を受け、病院全体で職員が力を出し合って、1階外来・受付ロビー、2階外来・検査科・ICU廊下周辺などの壁や天井のペンキ塗りの作業を、ボランティアで行うことになった。
このため、院内各職場から世話人6名を選出し、院内職員へボランティア募集を行った。この結果、7月16日現在で、79人もの職員がボランティア登録をした。
23日(月)の塗装作業初日、看護師や放射線技師、事務職員などの職員32人が、1階外来に制服のまま集まった。ビニールのエプロンをかけて、ペンキをつけたローラーを持ち、汚れや傷付いた壁を次々に塗り替えていった。作業は、無報酬の自主参加で、平日勤務終了後の17:00から約2時間程度行われた。職員たちは、「楽しいわね」、「だんだん壁がきれいになってくるとやりがいがあるわ」などと、笑顔で作業に没頭していた。
世話人代表の小山秀昭(市立小樽病院事務局次長)は、「病院のスタッフも一生懸命仕事しており、院内の壁がきれいになると患者さまにも喜んでもらえるのではないか」と話していた。
市立病院では、今後、31日(火)に2階外来、8月10日(金)1階受付ロビー、21日(火)2階検査科、28日(火)ICU廊下周辺など、患者が往来する場所の塗装を行う。9月以降も事務局前廊下や3階内視鏡室向、病棟エレベーターホールなども予定されている。
市内の商店主は、「民間では、店舗が汚くなれば、自分達で当たり前に塗装や修理作業を行っている。今、54年も経ってから塗装作業を始めるなんて遅すぎるのでは」と指摘していた。
市立病院の統合新築を推し進める小樽市は、起債の許可を得ないまま、基本設計を発注し、見切り発車をしているが、市と病院の会計がいずれも累積赤字を抱えたままで、現在の計画で起債許可が取れるかどうかは極めて疑問となっている。
悪化する一方の市財政を受け、病院職員たちが、自らの手で職場環境を改善しようとする動きが出たことで、関係者は、今後の病院運営にとって全職員の意識改革への一歩になればとしている。