小樽市議会12月定例会の本会議が12月11日(月)13:00から開かれ、共産党と自民党による会派代表質問が行われた。
代表質問に立ったのは、共産党・古沢勝則、自民党・小前真智子の2議員。共産党・自民党とも、現在の市の重要課題となっている新病院建設計画と財政問題を中心に質疑を行った。
最初に代表質問に立った古沢議員は、新市立病院建設についての質問で、病院事業と資金収支計画を質した。
「今回の新病院の規模・機能の変更については、ズサンな資金収支計画、間違った収支計画にもとづく変更提案だ。第3回定例会において、突然の医師配置数の大幅縮小、事業費の圧縮答弁には、与党・野党を問わず大変驚かされましたが、今回はそれに勝る議会軽視、議会の審議権を踏み躙る問答無用のやり方だ」と指摘し、「本定例会は、市長“仰せのとおり”といわんばかり、この新病院基本設計にかかる補正予算議案を議決しなければいけないのか。このままでは与党であれ野党であれ否決せざるを得ません。自ら否を認め、本件議案の撤回の意志はないのでしょうか。あなたの見解をお聞かせ下さい」と質した。
山田市長は、「基本設計委託料の予算については、病床数により変わるため、おおよその見込みについてお知らせをし、議案については追加して送付させていただく旨説明させていただいたところでありますので、ご理解をいただきたいと思います。病院の統合新築事業は、両病院の現状からも、早急に着手する必要がありますので、基本設計の予算については、本定例会において是非とも可決いただきたいものと考えております」と、あくまで基本設計委託料の可決を求めた。
また、病院の規模・機能の縮小では、「1年前の見直し結果に比べ約50億円の圧縮になったとはいえ、それでもなお、総額約220億円の壮大な事業です、これをもとにした償還割合は、病院会計が50%で約110億円、一般会計負担が27.5%で約60億円、交付税措置分が残り22.5%で約50億円ということになりますが」に対し、「起債償還の割合と金額については、起債の額を土地取得費を除く153億円として試算しますと、それぞれの割合と金額は、病院会計が50%で102億円程度、一般会計が27.5%で56億円程度となり、交付税として措置される分が22.5%で46億円程度となります」と答えた。
さらに、「病院会計の収支計画において、医業収益では18年度に比べて、19年度5億円、20年度8億円、21年度8億円2,000万円、22年度8億6,000万円、開院時の23年度においても約1億2,000万円の収益増になっている。この収益増の確たる根拠、内訳は何か」と質した。
市長は、「平成19年度では、第二病院の内科休診と精神科病棟休棟により約3億4,000万円減収と見込まれますが、18年度の途中から算定された7対1看護入院基本料が通年ベースとなるため約1億4,000万円、小樽病院での医師1名の増員による患者増で約3億円、第二病院での内科病床を単価の高い脳神経外科等の病床に変えることにより約3億5,000万円それぞれ増収を見込み、前年度より約5億円の収益増を見込んでおります。
平成20年度では、前年度の要因のほか、小樽病院で更に医師1名を確保し患者増を図ることにより約3億円増収を見込み、18年度に比べ約8億円の収益増を見込んでおります。
平成21、22年度では、前年度までの要因のほか、第二病院での循環器科外来の診察回数を増やすことなどにより、18年度に比べそれぞれ約8億2,000万円、8億6,000万円の収益増を見込んでおります。
平成23年度では、新病院が開院し、院外処方を行う予定ですので、外来投薬科が減収となることと、新病院での病床数の減少などで、約7億円の減収が見込まれますが、前年度までの増収がこの減収を上回るため、18年度に比べ約1億2,000万円の収益増を見込んだものであります」と、あくまで机上のそろばん勘定での答弁を行った。
自民党の小前議員は財政問題で、「平成19年度の予算編成に夕張問題を教訓としてどのように臨まれようとしているのか、伺います」と質した。
山田市長は、「新年度予算の編成に当たっては、常に財政再建団体への転落が現実のものとな得るという厳しい状況を十分認識し、早期に赤字額の圧縮に努める必要があり、財政再建団体転落回避と財政再建が最優先課題であることを念頭に置き編成する方針であります」と答えた。
また、「本市は平成17年度決算で2年連続の赤字決算で、約14億円の赤字となっているが、その解消策はどのように考えているのか」と質問した。
市長は、「累積赤字14億円については、財政再建推進プラン実施計画に沿って解消する計画だったが、今年度から、地方債が許可制から協議制に移行したことにより、普通会計の累積赤字を原則として7年度以内に解消する財政健全化計画の策定や病院事業会計における不良債務を5年度以内に解消することを求められたことから、これらの達成のために、現行の財政再建推進プラン実施計画を更に踏み込んだ対策を実施しなければならない状況となっております」と、自ら作成した実施計画がすでに破綻し、新たな対策を迫られていることを明らかにした。
小前議員はさらに、「病院の44億円の赤字の原因を、公立病院として不採算部門をかかえているからだとの答弁はなりたたないことになります。公立病院として、何故これほどの多額の赤字を抱えたのか、減らすためにどんな努力や取組みをしてきたのか、市民に説明する必要があると思います。何が赤字の原因なのか明確にしなければ改善は図れないと考えます。市長の考えをお聞かせ下さい」と質した。
山田市長は、「病院事業会計の累積赤字44億円の解消の考え方については、これまでの一般会計から病院事業会計への繰入れが毎年度約13億円台で推移してきたことを踏まえ、病院会計の経営改善による解消と一般会計からの解消分の繰入れにより、両会計で解消していくことにした。一般会計からの繰入金は、19年度は16億円5,000万円で、最高額の21年度で18億7,000万円と予定しております。病院事業での経営努力としては、入院基本料7対1看護の継続に努め、収入を確保していくこと。また、小樽病院では内科医師を19年度と20年度に各1名を確保し、第二病院では循環器科の外来診察回数を増やし、患者増を図るよう努めてまいります」と、これからも医師の確保の困難さが増す中で、“来てはもらえぬ医者頼り”での患者増を当てにするという、あなた任せの答弁に終始した。
野党の共産党だけでなく、与党の自民党からも新病院建設計画では、多くの疑問符が出されている中で、約1,300億円の巨額借金と2年連続の累積赤字で財政破綻している小樽市が、さらに、市民の多額の税金を使って、築港地区での新病院建設を強引に進める市長の答弁は、結局ツケを回される市民にとっては、 到底理解し難いものになっている。本定例会での内容あ る徹底的な審議を期待したい。
会派代表質問は、12日(火)にも行われ、平成会・大畠護、公明党・高橋克幸、民主市民連合・佐々木勝利の3議員が質疑を行うことになっている。