小樽市港町の港湾合同庁舎(港町5)で海事業務に携わっていた国土交通省北海道運輸局(小樽庁舎)が、札幌の運輸局に移転・統合することになり、港町小樽から国の海事行政機関が消えることになった。小樽市長らは、慌てて29日(水)に北海道運輸局長へ小樽庁舎の存続についての要望書を手渡した。
現在、北海道運輸局小樽庁舎には、海事振興部と海上安全環境部が置かれ、58人の職員で船舶登録や運航管理、海技従事者国家試験などの海事業務を行っている。1943(昭和18)年から海事業務が行われており、北海道海運行政の中心を担っていた。
同合同庁舎は、総事業費39億9,700万円で、2009年度完成を目指し、建て替え新築されることになっているが、この中に現在入っている運輸局の小樽庁舎の入居が予定されていなかった。
11月上旬に、同運輸局は、経費の削減と業務の効率化を目的に、小樽庁舎を札幌へ移転・統合すると、小樽市と小樽商工会議所に申し入れた。
小樽市では、本市港湾事業にとっても大きな役割を担ってきた小樽庁舎の撤退は、港湾業務はもとより「港」を中心に発展を遂げて来た小樽のまちに、極めて大きな影響があるとして、同庁舎の存続要望行動を29日(水)に行った。
小樽市(山田勝麿市長)・小樽市議会(中畑恒雄議長)・小樽商工会議所(鎌田力会頭)の3者は、29日(水)14:00、札幌第二合同庁舎7階の江口稔一運輸局長室を訪れ、「小樽市の現状を理解のうえ再検討し、機能・組織を存続し、小樽港における関係者の業務への支障を最小限にとどめるよう強く要望する」と書いた要望書を提出した。約40分間にわたり話し合いが行われ、運輸局長は「要請は受けとめ気持ちも分かる」と答えたが、色好い返事は得られなかった。
札幌から帰ってきた山田市長は、「今は即答出来ないと、冷たい返事を頂きました。また次の手を考えます」と、肩を丸め疲れた様子で話していた。
小樽から次々と逃げ出す公共機関や民間機関で、小樽市は、ますます衰亡への道を早めていると感ずる市民が多くなっている。
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