市立小樽文学館(色内1)では、ちまちま人形でおなじみの高山美香さんが作る映画スターを集めた「ちまちまキネマ・ワールド 高山美香のビックリ映画館」を、4月6日(土)から5月19日(日)まで開催している。
札幌生まれのイラストレーター・高山さんは、2004(平成16)年から、紙粘土で偉人人形の制作を始め、2008(平成20)年に同館で企画展を初開催。2015(平成27)年のイラストを中心とした「北の文人 立ち話」から4年ぶりとなり、ちまちま人形ファンにはお待ちかねの企画展だ。
今回展示の人形は、邦画・洋画の映画スター40体で、映画好きのあとりゑ・クレール店主の高橋明子さんから依頼され、映画俳優を作るか・素の本人を作るのかを悩みながら生まれた、高橋さん所有の貴重な人形を展示している。
15cmほどの人形になった映画スターは、会場で名シーンを再現。見事な出来栄えの裏には、並々ならぬ苦労があり、制作ウラ話を書き記したメモも添えられている。
「男はつらいよ」の寅さんは、顔に2ヶ月もかけて表情を出し、カバンの中身も細かく再現。「ローマの休日」のアン王女役のオードリー・ヘプバーンは、作っては壊しを4回も、「あなただけ今晩は」のネスター役のジャック・レモンの首を出した姿勢にも苦労。「お熱いのがお好き」のシュガー役のマリリン・モンローの通常のほくろは左頬だが、この映画の中では左顎にあったり、苦労話なのになぜが微笑ましい。
邦画では、「野生の証明」の高倉健・「青い山脈」の杉葉子・国民的スターの石原裕次郎にも逢うことができる。
映画に関連して、高橋さんの所有のパンフレットやチラシ、1950年代の日本で公開された映画の広告も、来館者を楽しませている。
高山さん直筆パネルには、役者のキラキラしたものの表現や、体温を錯覚させるような生きてる感の2つを最近の課題とし、ますますファンを楽しませてくれる。
玉川香館長は、「映画館ではスクリーン上に出てくる人物が、360度どこからでもスターの醸し出す雰囲気を感じ取ることができる。小道具にも力を入れ、シザーハンズはどうはさみを持っているかや寅さんのトランクの中身を突き止め、1体を作るにあたり、何冊もの本を読み込んで制作。簡単には分からない細かいところにまで手をかけている。高橋さんがお気に入りのマイナー映画の登場人物も制作している」と話し、「映画館などは縮小傾向があり、逆戻りはできないが、映画館で観た映画の記憶とともに、映画の楽しさをもう一度読みおこしてもらいたい」と多くの来場を呼びかけた。
ちまちまキネマ・ワールドー高山美香のビックリ映画館 4月6日(土)~5月19日(日)
市立小樽文学館(色内1) 4/29・5/6を除く月曜・5/7〜10休館
入館料一般300円、市内高校生・70歳以上150円、中学生以下無料
ギャラリートーク「ちまちまキネマ・生トーク」5月6日(月)14:00~15:30
出演:高山美香・高橋明子 入館料のみ
問合せ:0134-32-2388 市立小樽文学館
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