新明館長がレクチャー 掛け軸の取り扱い方


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 市立小樽美術館(色内1)は、学芸員のスキルアップと古美術に興味のある一般市民を対象に、新明英仁館長による、3月19日(火)13:30から、同館2階企画展示室で、第1回「掛け軸の取り扱い」を開催した。
 長年にわたり学芸員や研究者としての経験を積んだ新明館長が、美術講座として掛け軸の取り扱い方法と注意点等を解説。同館の他、小樽市総合博物館・文学館・小樽芸術村の学芸員10名と一般市民3名が参加して手ほどきを受けた、
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 同館所蔵の明治から昭和期にかけての日本画家・筆谷等観の掛け軸をはじめ、館長コレクションの木箱に入った金属工芸品、巻子(かんす:帯状にした紙に文字や絵を描き巻いた物)などが教材として持ち込まれ、緊張した雰囲気に包まれた。
 掛け軸は、季節ごとの慶事や来客のもてなしとして場を彩る室内装飾として、床の間などに掛けて鑑賞。床の間が少なくなった現代においても、重要な文化財として保護されている。展示においての取り扱いには細心の注意が必要で、正しい扱いを知る貴重な機会となった。
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 日本手ぬぐいで頭を覆い、マスクとニトリルゴム製の薄手の手袋を着けて身支度し、時計やネクタイピン等の金属製品を身につけない、取り扱う際の独特のスタイルや、巻き方や紐の締め方、収納する箱紐の掛け方を伝授。
 掛けてある掛け軸を、下の方から巻き、矢筈(やはず・掛ける道具)を使って外し、残りを丁寧に巻いて風帯を畳み入れて、紐を掛けた。
 掛け軸に興味を持つ女性は、「初めて掛け軸を掛けることに挑戦して緊張した。こんなに手のかかるものとは思わなかった。日本古来の日本画が美しい」と話した。
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 芸術村学芸員は4名で参加し、「市内の学芸員と一緒に参加するのは初めてで、展示の仕方など勉強になった」と満足していた。
 新明館長は、「作品を上手く扱えるようになると余裕ができる。作品を扱うことで、作品への満足度や愛情も深くなり、これが取り扱うことの良さです」と話した。
 今後も、館長の美術講座は不定期で開催される予定だ。
 市立小樽美術館(外部)