小樽市手宮地区の厩(うまや)町会で活躍した、鉄骨3階建の赤い特異な消防番屋が老朽化に勝てず、今月末には、取り壊して解体されることになった。
この特色ある消防番屋は、火事の多い手宮地区に1926(昭和元年)に建築され、同地区の防火のシンボルとして80年にわたって厩町会の消防団の活動拠点となっていた。
赤い屋根を持ち、延べ約70平米の鉄骨3階建ての四角形の番屋は、1階に消防ポンプ車や消火器具を備え、3階の望楼からは四方が見渡せ、火災を見つけやすい構造に作られていた。当時は、現在ほど高い建物もなく周囲がかなり望め、消防団の拠点として活用されていた。
市消防本部によると、市内には、市消防団の番屋の役割をする詰所は52ヶ所あるが、厩町会の消防番屋のように築80年の古い建物はないという。
同建物も築80年も経ち老朽化が進み、消防団の役割も以前よりも小さくなったこともあり、大雪などで倒壊の危険なども起こりかねないとして、10月末には解体することになった。
15日(日)には消防団員たちが、80年も親しんだ番屋とのお別れの式典を行って、消え逝く消防番屋に感謝の念をささげて別れを告げた。赤い特異な文化財的建物も時代の流れとともに、間もなく消え去る運命となった。