小樽市消防本部は、1月26日の文化財防火デー啓発行事の一環として、市の歴史的建造物第64号の田中酒造株式会社亀甲蔵(信香町2)で、同日10:00から、火災防御訓練を実施した。
1949(昭和24)年1月26日、奈良県法隆寺の金堂が炎上し、国宝の壁面を焼損したことから、1955(昭和30)年に、文化財防火デーを制定。
この訓練は、歴史的建造物等の災害対策の確立と、市民及び施設関係者の防火意識の高揚と啓発を目的としている。
訓練参加者は、消防署員6隊24名、消防団16分団5名、自衛消防隊10名。出動車両は、昨年末に導入した13mブーム放水塔付き多目的消防ポンプ自動車が訓練に初参加し、他5台。
訓練想定は、同日10:00に同蔵1階のボイラー室から出火。同社の自衛消防隊が初期消火後に、119番通報及び避難誘導を行った。その後、消防隊が到着し、負傷者を救急車で搬送。同車両等を使った4口から放水を実施した。
はじめに、消防隊員が背負ったボンベから泡の消火剤で消火活動を実施した。その間、救助隊が逃げ遅れた負傷者を建物から救出し、救急隊が救急車で搬送した。
新導入した車両は、バケット付きの防水塔を13mほど伸ばした中に2名の消防隊員が乗り、圧縮空気を混合させ少ない水で泡を発生させるポンプ機能の圧縮空気泡消火装置(CAFS)を搭載。高所から泡消火を実施。一斉に4口から放水し、訓練は終了した。
同社の自衛消防隊10名は迅速に避難誘導を実施し、外国人観光客が多いため、中国語と英語 の避難を促すフリップボードを用意して活用した。
同社・田中一良社長は、「大掛かりの訓練が行われ、火事を起こしてはいけないと痛感。企業努力に務めたい。定期的に社内では火災訓練を実施しているが、現場に消防車が集まり現実感があり、これからの訓練にとても役にたちました」と話した。
宮越繁喜消防署長は、「建物を守るために、ここに住んでいる方々が中心となり避難誘導を行い、被害を最小限に食い止めるような初期消火が行われ、大変良かった。今後、これらの事をしっかりと守り、人命、建物、財産を守ってもらいたい」と講評を述べた。
◎小樽市消防本部HP
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