明治に建設され一世紀にわたり現役として小樽港を守り続けている北防波堤を、本格的に修復する“平成の大改修”の秋の陣が、9月から開始されている。
昨年7月に行った施設現況調査(マルチビーム)や潜水調査で、北防波堤斜塊部を支え、波の衝突力を弱める「捨塊」と呼ばれるコンクリートのブロックが、波の勢いで飛散・散乱、削られて重量も減っていることが分かった。このため昨年は、本体延長1,289mの港外側の32mで、改良された新しいコンクリートのブロック「方塊」約30トンを、18個据え付ける作業を10月までに行っていた。
今年は5月18日から行った現況調査で、港内側の121mの北防波堤斜塊部を支える基礎の石が崩れていることが判明した。このため、9月4日(月)よりこの部分の改修・再設置作業を始めた。新たに開発された6トンと8トンの「被覆ブロック」を据付け、既存のブロックを再設置して強化を図ることにしている。
今年度の工事費は1億1,865万円。「北防波堤は、北海道遺産登録されている極めて貴重なもの。しっかり調査し現況を把握して、慎重に工事を進めていく」(小樽開発建設部・櫻井博築港課長)としている。
北防波堤は延長1,289m。近代土木の父・廣井勇博士(初代小樽築港事務所長)の陣頭指揮により、1897(明治30)年から11年間をかけ、1908(明治41)年に完成した。コンクリートブロックを斜めに積み上げた斜塊構造は、当時の土木技術の最先端をいくものだった。2000(平成12)年には土木学会の「土木遺産」に、2001(平成13)年には「小樽みなとと防波堤」として「北海道遺産」に指定された。
9月8日(金)には、朝から北防波堤の港内側の基礎マウンド(海底部)の整形に必要な捨石(30~300kg/ヶ)を、起重機船により投入する作業が懸命に行われていた。(写真の一部の近接撮影は、小樽開発建設部提供)