小樽市内の桜の木に優美でダイナミックな飛翔を見せながら、エゾシロチョウ「蝦夷白蝶」が、フワリフワリと市街を舞っている。
6月21日(水)は夏至。1年で最も昼の長い時を楽しむように、桜の木の枝にびっしりと付いたさなぎの幼虫が羽化し、紙吹雪を撒いたように飛び跳ねている。
エゾシロチョウは、日本では北海道にのみ産する特産種。モンシロチョウと同じシロチョウ科に分類される。羽を広げた大きさは6cmから7.5cmくらいで、モンシロチョウより二回りくらい大きい。クリーム色の羽にくっきりとした黒い筋模様を持つのが特徴的。
羽化した成虫は、年1回、6月下旬から7月に発生し、フワリフワリと華麗な舞いを見せる。サクラやボケ、リンゴ、ナシ、ハマナスなどのバラ科の樹木に寄生する。
市街の中心地の花園橋や南小樽駅、小樽税務署などにあるサクラにも、現在、幼虫が枝という枝を覆っており、さなぎから羽化した成虫が、緑の葉の間をぬってフワフワと舞い上がっている。
サクラの葉を食べるので食害も心配されるが、小樽市博物館では 「この時期になるとエゾシロチョウが毎年発生している。大発生すると葉っぱをたくさん食べてしまうので、樹木の管理者さんたちに嫌われるが、今年は大発生までとは言えない。私の出身の函館の五稜郭公園にも毎年エゾシロチョウが発生し、地方紙でも取り上げられる風物詩になっている」(山本亜生学芸員)という。
夏至にフワフワ舞っているエゾシロチョウは、7月頃までには卵を産んで死んでしまうので、本格的な夏の始まる前の今が見頃となっている。