色内小・最後の思い出!壁や床に落書きメッセージ


 小樽市立色内小学校(谷本慎司校長)は、休日の土曜日を活用して、同校児童を対象に”居場所づくり”を、平成23年10月から実施してきたが、3月末で閉校となり、3月26日(土)13:00から16:00まで、最後の”居場所づくり・番外編”が開かれた。
ibasyozukuri1.jpg 最終回は、児童や卒業生・保護者、地域住民にも声をかけ、色内小学校最後の思い出に、読み聞かせと、学習タイムに、旧岡崎家能舞台を生かす会・三ツ江匡弘代表が講師を務めた「能と狂言について」を、体験タイムで、体育館で能舞台の組立の様子を見学した。
 その後、14:30から同校1階の教室と廊下に、思い出を刻む「落書きタイム」が企画され、児童や卒業生・保護者ら50名ほどが集まり、アクリル絵の具やクレヨン・マジックを使い、思い思いの絵やメッセージを壁や廊下に描いた。
 普段、落書きしてはいけない場所だが、閉校を控え、落書きが許可された。児童や卒業生は、「さようなら」などの別れの言葉や、「ありがとう」の感謝の言葉を、廊下の壁や教室の床いっぱいに、思いを込めて自由に描き、カラフルな文字が飛び交い、賑やかな校舎に生まれ変わった。
ibasyozukuri2.jpg 3年前に卒業した福田稀羅々さん(中3)は、妹と一緒に色内小学校の校歌を教室の壁に刻み、「イベントが多く楽しかった。妹が通っていたので、卒業してからも学校に来る機会があった。閉校してしまいとても寂しい」と話した。
 谷本校長は、「閉校となり寂しい気持ちだが、この機会だからこそできることを企画してもらい、良い思い出にしてもらいたい」と話した。
 同校体育館では、3月29日(火)14:00から、旧岡崎家能舞台を生かす会が主催する「春休み みんなで能を体験しよう!」が開催される。
 このため、組立式能舞台の研究に取り組んだ北海道職業能力開発大学校(銭函3)の建築科准教授・的野博訓氏とその学生15人が、朝の9:00から能舞台の組み立てに精を出した。
ibasyozukuri3.jpg 三ツ江氏は、「組立式の能舞台を復原したものとして、初めてのイベント。切戸口など、現代人のサイズに合わせ許される範囲内で大きくしたり、壁の隙間に切り込みを入れるなど、使い勝手を良くするようリクエストした。この機会に多くの方に来場していただきたい」と呼びかけている。学生らは、研究に則り、これまでの成果を活かし、能舞台の組立に取り組んでいた。
 この組立式能舞台は、2014(平成26)年7月に小樽市民会館で発見された。北海道最古と思われる旧小樽昭声会の組立式能舞台で、三ツ江代表をはじめ、同大学の建築科学生らが復元の研究を開始した。その成果があってほぼ半世紀ぶりに組立に成功した。今年2月にその研究の成果を発表し、機能性と組立方を向上させた組立式能舞台の復原に大きく貢献している。
 その後、部材の歪みや紛失した部材も多く、それらを含めて完全に復元する研究を進めてきた。小樽能楽100年記念祭の一事業を、閉校する色内小学校の最後のイベントをも盛り上げようと企画された。
 当日は、能の楽器についての講話や、宝生流の同吟・仕舞・舞囃子の演奏会、楽器の体験や、能面の講話も企画されている。入場無料。

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