戦後70年の祈り! 商大戦没者慰霊祭

 戦後70年の節目を迎えた終戦記念日の8月15日(土)、各地で戦没者を追悼する式が行われる中、小樽商科大学(緑3・和田健夫学長)研究棟前の石狩湾を望む高台に立つ緑丘戦没者記念塔で、11:59から「緑丘戦没者慰霊祭」がしめやかに挙行された。
 遺族や緑丘会会員、学生代表、大学関係者ら約90名が出席し、戦火に散った347名の学生・教員などの御霊に祈りを捧げた。
ryokukyuirei1.jpg 同記念塔は、同大学の名誉教授であった松尾正路氏の呼びかけで、1969(昭和44)年に完成。大学構内にある記念塔は珍しく、建立以後、毎年終戦記念日に慰霊祭が途絶えることなく行われ、今年で47回目となる。
 記念塔内部には、当初、緑丘戦没者321柱の銘が刻まれ、その後戦死が明らかになった学生の名が追加され、現在347人の学生・教員の御霊が眠り、「戦の野に果つるとも 若き命 この丘にとヾまりて 消ゆることなし 友よ 安らかに眠れ」と書かれた碑石が納められている。
 12:00のサイレンとともに、参列者は黙祷し、戦没者に哀悼の意を表すとともに、平和への誓いを新たにした。
 和田学長は、「亡くなられた方々の魂は、70年の時を経ても、なお緑ヶ丘の地にあり消えることはない。先の戦争により、夥しい国内外の人が理由もなく命を奪われ、戦争の影響はそれだけには留まらない。ryokukyuirei2.jpg多くの日本人が戦争の過ちを認め、真摯な反省の上に立ち、戦後70年にわたり築いてきた不戦の誓いと平和主義は、複雑な国際関係と安全保障体制を巡る政治情勢の中で、今まさに大きく変容しようとしている。
 平和を願う世界の人々の心を支配することはできない。碑石の追悼の言葉を改めて噛み締め、異国の地で若き命を奪われた我が同窓の無念さに思いを致し、小樽商科大学は未来へ向かい、相互理解と信頼の下で平和な世界を築く人々を育てることをここに誓う」と挨拶した。
 緑丘会小樽支部・庄司俊雄支部長は、「戦地に赴かれた諸先輩が、一番帰りたかったのは、故郷の父と母の胸の中、そして、緑丘に立つ母校であったと思うと涙が溢れる。どんなに追い詰められても、戦争という暴力に訴えるのではなく、品格を持って平和的に話し合い誠意を尽くして進め、戦争だけはしない世の中にしていくことが、我々残された者たちの使命である」と述べた。
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 その後、参列者ひとりひとりが、白い菊の花を献花し、遺族・緑丘会員・学生代表・大学職員と続いた。グリー&カンタール5名が校歌を斉唱し、参列者とともに歌い、戦没者を偲んだ。
 同大・大学院を卒業した札幌在住の溝渕新藏さん(84)は、「中学生の時に、終戦を迎えた。最近のテレビなどでは戦争に関する番組が多く、今日の慰霊祭では、胸が詰まる思い。遺族の方々は、もっと辛い思いで参列していると思う。親戚の中でも4名が兵隊となり、戦死した者もいる。347名の中で、昭和19年の卒業生が最後となる。亡くなられた方の中で、優秀な方も多く、大きな資産を亡くしたこととなった。戦争のない平和を願っている」と感慨深い様子で話した。
 小樽商科大学HP
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