ささやかな楽しみを奪う市の赤字財政!入湯税4,000万円目論む!


yunohana.jpg 一仕事を終えた庶民のささやかな楽しみである「日帰り入浴施設」利用の市民から、税金(入湯税)を“強制徴収”する計画が、小樽市役所(山田勝麿市長)で進められている。
 小樽市は、バブル期に”踊って”建てた各施設の巨額借金返済に追われている。予算収支も均衡を欠き、2年連続の赤字のたれ流しが続いており、今年度も赤字必至の「日本一の貧乏都市」(山田市長)の断末魔に喘いでいる。
 財政再建という御旗で、「市民負担はこれ以上は無理」(市長)という、各種負担を市民に強いて来ている。この中で、市が今年の財源対策として狙いをつけたのが、日帰り入浴施設利用の市民からの税の徴収という、さらなる市民負担だ。
 これは、1,000円未満の日帰り入浴施設(公衆浴場・銭湯を除く)で、現在実施している入湯税の課税免除を廃止し、入浴者1人につき新たに50円の負担を施設か利用者に強いるもの。
 この入湯税の課税免除の廃止は、これまでも市が100円の徴収を目論んだが、各施設からの猛反対で計画の見直しを迫られた経緯がある。このため、今度は50円に引下げての第2ランドの戦いとなる。
 大盤振る舞いで、「金を使うだけ使ってのやりたい放題の借金漬けの代官様が、今度は庶民のささやかな楽しみの日帰り入浴客に課税して、借金の穴埋めをする」江戸時代のような構図が浮かび上がる。
 2006(平成18)年度予算には、この入湯税の取立て分の4,000万円が歳入増の取り組みとして計上されている。しかし、日帰り入浴施設側は、現在、原油の高騰で経営を圧迫されており、入湯税の課税は、さらに経営を苦しくするものとして反対が強い。
 小樽市内には、1,000円未満の日帰り入浴を実施している施設は、かんぽの宿小樽、朝里クラッセホテル、宏楽園、新日本海フェリーターミナル展望温泉パノラマ、湯の花、小樽温泉オスパ、コナミ、マリンヒルホテル、ゆらぎの湯、武蔵亭の10ヶ所ある。
 小樽温泉オスパ 幸和観光株式会社・・大越秀勝常務取締役は、「反対です。削るものを削りなさい。市の職員だって市立病院に行かないで、手稲の渓仁会病院に行っているでしょ。そんなことをしていて病院を建てるために土地を買う必要はない。市議会だってそうだ。無駄なものがいっぱいある。もし免除が廃止となるなら、お客さんに負担をしてもらわなければいけなくなる。もしそうなるのであれば、街頭署名運動もする予定ですよ」
 湯の花・小林勝幸総支配人は「自分たちのツケを入湯税に回すのはおかしい。財政が厳しいから、税金を上げればいいという体質に反対。決定はしていないが、入浴料金は値上げしない方向で考えている。入湯税の前に、しっかり市役所の襟を正して欲しい。人件費もしかり、色々な取り組みをしているのは分かるが、ただ財政が苦しいからといって入湯税の免除を廃止するのはおかしい。燃料が高騰している中でやっていっているのに」
 朝里クラッセホテル・前川勝美取締役統括総支配人は、「重油の価格が急騰している中で、さらなる経営圧迫に繋がる。厳しい。札幌の温泉施設に客が流出してしまう。今は、札幌間との戦いでマイナス要因になる。低価格路線の中、入浴料金は上げられないため厳しい経営状態になる。組合も同じ意見だろう」
 ゆらぎの湯は、「お客様から頂戴する形になるので反対です」と小さな施設も反対する。
 蔵群・ホテル武蔵亭を経営する株式会社小樽観光企画の眞田俊之専務取締役は、「入湯税はお風呂に入った人から徴収することなので、せざるを得ない。しかし、徴収した税を入浴施設振興のために、ちゃんと使ってもらいたい。他の企業が入浴料金を上げないで、企業努力で負担すると決めるなら、それに賛成する。まずは話し合いをするべき」
 宏楽園・米山幸宏常務取締役は、「入湯税を支払わなければいけないのなら、お客様から頂戴しなければいけない。小樽市の財政も分かりますので、ヤダヤダと言っていても仕方ない。徴収した分を有効に使って頂けるなら仕方のないことだろう」
 かんぽの宿小樽・只野博信総支配人は、「組合の意見でまとめる」
 フェリーサービス株式会社常務課・小川敏幸副長は、「個人的には反対。社内で話は出ていない」
 マリンヒルホテル小樽は、「答えられない」
 ロッジガルミッシュ・玉川映一オーナー(温泉組合事務局長)は、「組合としてはひとつの方向として、話は進めていくが、反対・賛成はハッキリしていない」
 各施設の意見を聞くと、大型浴場施設を持つ業者の反対は特に強いが、中には「やむを得ない」と容認姿勢を見せるところや、態度未定のところもあり、今後の市との協議結果が注目される。
 しかし、利用者市民は「週2から3回利用するので、2人で行くと月千円位の負担となり、1年でも1万円もの増税になる。年金生活者にはきつい。本当に小樽は住みづらくなる。引越しでもするしかないのか。市の失政の付け回しはもうごめんこうむりたい」と嘆きが止まらない。
 小樽市では、事業主から理解を得られない場合には、入湯税の課税免除の廃止は出来ず、歳入増の取り組みに4,000万円の穴が開くことになる。市財政課では、「もし理解が得られなければ、他のところから持ってくるしかない」としている。