今年7月、小樽ドリームビーチ付近の道路で、一瞬で若い女性3名の命を奪った悪質な飲酒運転による死亡ひき逃げ事件を受けて、飲酒運転根絶と命の大切さを考えようと、9月28日(月)14:00から、小樽市民センター(色内2)マリンホールで、「交通安全市民総決起大会」が開かれた。
主催する小樽交通安全協会・小樽地区安全運転管理者協会・小樽地区安全運転管理者事業主会をはじめ、各団体や市民約500名が参加。日頃から交通安全に協力する小樽のゆるキャラ「運がっぱ」も登場した。
主催者団体を代表して、小樽交通安全協会・中野豊会長は、「大会を通じて、市民ひとりひとりが交通安全の意識を再認識し、交通安全に対する考えを盛り上げ、そして、市民から全国へ発進する必要があると考える。交通関係団体は、市民とともに、さらに交通道徳の向上と交通事故の防止に向けて活動を続け、市民の協力をお願いする」と挨拶した。
引き続き、小樽警察署交通第一課・鈴木修課長による交通講話では、「同事故が起こり、その後、石狩市や小樽市でも、8月と9月に2名が逮捕される飲酒事故が後を絶たない。飲酒運転が及ぼす影響、厳罰や代償についても考え、飲酒での様々な影響を改めて知るべきだ。たかが一杯との気軽さから大惨事を招くことになり、個人の名誉も失わなれる。今一度免許証を手にした頃を思い出し、初心に返り、秋の行楽シーズンとなり事故が多発する時期となるが、各個人の意識をさらに高めるように」と強調した。
次に、「交通事故被害者遺族の講話」と続き、11年前に14歳の娘を、法定速度を大幅に超えたトラックが道路を越脱し、はねられ死亡するという悲しい経験を持つ南幌町在住の女性の話を聞いた。この女性は、交通事故撲滅を訴え、各地で活動を行っている。経験した家族でなければ分からない悲しみや怒りなどの心情を語った。
「なぜ、交通事故が繰り返されるのか、自分の命が急に絶たれたり、隣りにいる大切な人の命が絶たれたらどうなるだろうかなど、想像力を持って、被害者にも加害者にもならないよう人生を過ごしてもらいたい。『ただいま』の言葉が一番聞きたい。この言葉の重さを強く感じ、『ただいま』『おかえり』と言える幸せを大事にする毎日が続きますように」と締めくくった。
交通事故手記の朗読に続き、小樽在住のシンガーソングライター石谷嘉章氏が、オリジナル曲「かえり道」他3曲を熱唱。ファルセット(裏声の一種)を得意とする澄んだ歌声が会場に響き渡った。
都市開発株式会社濱塚繁氏が「死亡事故ゼロ宣言」を行い、小樽安全運転管理者事業主会の杉江俊太郎会長の合図で「STOPザ交通事故!」と参加者全員で叫び、飲酒運転根絶に向けて心をひとつにした。
北海道警友会小樽支部・伊藤忠孝支部長は、「交通事故被害者遺族の方の話で、ただいまやおかえりの言葉の重さが生きることだと感じた。交通死亡事故を1件でも減らせるように全国へ伝えたい」と話した。