日本銀行旧小樽支店金融資料館(色内1)の非公開ゾーン「望楼ツアー」を、「小樽雪あかりの路」の開催に合わせ、2月8日(土)・13日(木)・15日(土)の3日間開催。今年で、5年目を迎えた。事前に申し込みが必要で、定員135名がいっぱいとなる人気のツアーとなっている。
1日3回ツアーを開催し、8日(土)の14:00からのツアーでは、16名が通常非公開の2階会議室に集合し、担当職員から建物についての説明を受けた後、期待が高まる中、ツアーを開始した。
「望楼」は、同館の5つのドームの中で、唯一、登ることができる場所で、他4つは飾り。普段は、安全上非公開となっている。当時、北海道の金融や経済の中心で、職員がここから小樽港を見下ろし、船の出入りを確認し、経済情勢を分析したと言い伝えられている。
日本銀行旧小樽支店は、東京駅の赤レンガの設計者・辰野金吾らが設計し、1912(明治45)年7月に完成。今年で100年の歴史ある建物。外観は、ルネッサンス様式を取り入れ、外壁は、煉瓦の表面にモルタルを塗り石造り風に仕上げている。
一行が階段を上ると1つ目の部屋があり、そこにある丸窓は、軍艦の司令塔をイメージして作られていると説明。更に上ると360°見渡せる望楼に辿り着く。螺旋階段を覆っている硝子や窓に使われているガラスの中に、歪んで見えるガラスがある。これは、100年前、職人が手で硝子を伸ばしたための歪みで大変貴重な物。手すりなどには、古代書体で日銀の「日」の文字が刻まれている。
好天に恵まれ、望楼の窓からは増毛の山並みもはっきりと見え、晴れ渡った冬景色を堪能し、かつて賑やかだった時代に思いを馳せ、名残り惜しそうに望楼を後にした。
会議室に戻り、今度は回廊を見学した。当時回廊では、警備員が見回りをしていた。同館には、アイヌの守り神”シマフクロウ”が計30体あり、回廊からもライトアップされたシマフクロウが見える。職員がいない時に建物を守っていたと説明。回廊の長さは23m、高さは10.5mあり、参加者は、順番に回廊に出て、館内を見下ろした。
ツアーでは、1億円の重さを体験したり、平成24年に8ヶ月かけて修復工事を行った時に、点検のためくり抜いた壁の筒や、原型のレンガ、古い札を裁断して使用したエコポットや小型燃料を展示し、参加者は興味を示していた。
札幌在住の女性は「昨年も参加したが、吹雪で何も見えなかったので、今回は天気が良く、楽しかった。増毛方面がよく見えた。普段は下から見るだけで、上れるとあって期待し楽しみにしていた」と話した。
日本銀行札幌支店営業課の鈴木善治氏は「沢山の方が参加し大変うれしい。当館も小樽の観光施設のひとつであり、地元のイベントに合わせ、地域貢献の意味も含めて開催している。今後は工夫を凝らし望楼ツアーを継続し提供していきたい」と話した。
開館10周年を記念して、特別企画「辰野金吾建築を技師とする見学ツアー」を、2月11日(火・祝)に開催。歴史的建造物に興味関心のある人を対象に、すでに申し込みを募り、60名が参加する予定。
日本銀行旧小樽支店金融資料館(色内1-11-6) 0134-21-1111
開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで) 入館無料
休館日:月曜日(月曜日祝日の時は、その翌日以降の最初の平日)
※20名以上の団体は電話予約必要
◎金融資料館HP
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