芸術の秋に相応しく、本をモチーフに独自なアートで表現する「おたるBook Art Week 2013」が10月17日(木)から始まった。市立小樽文学館(色内1)を皮切りに、市内7ヶ所で開催。今年で3回目となる。
本をモチーフに、様々な作家の個性溢れるアプローチ作品展が、各店舗で展開され、「本ノヨウデ 本デナイ 本デナイヨウデ 本デアル」(チラシ)の言葉通りのイベント。
市立小樽文学館では、「JJ’s Cafe 」を会場に展示。今年のテーマは、「zine(ジン)とリトルプレス 新旧手作り同人誌展」を10月17日(木)から11月10日(日)まで開催中。詳細
zine(ジン)とリトルプレスとは、個人が思うままに作った本のことで、創作・表現したものを読者に読んでもらう、プライベートミニ出版誌で、現在、再びブームとなっている。札幌の雑誌専門古本屋提供の新しい「zine・トリプルプレス」と同文学館所蔵の1960年代半ばから80年代にかけて、全国で発行されたSF同人誌(ファンジン)約130種類を展示し、大変見応えがある。ファンジンとは、特定の作品のファンが製作する雑誌や本のことで、SFやアニメなどを題材にしたものが多い。
玉川薫副館長は、「アイディアも凝っていて、仕上がりも綺麗、個人で作るからこそできる。最近では、同人誌の動きが活発になってきている。イラストレーターやデザイナーなどを目指す若い人の発想、創作の発表の場として伝えている。当館所蔵の古い同人誌からは、素朴でありながら、現在のものと熱気が共通し、若者達の意欲は今も昔も変わらない」と話した。
毎号テーマを変え、様々なジャンルのクリエイターを紹介している自主制作季刊誌や、仙台に住むこけしを愛する3人組のこけしづくしの小冊子、町を歩いて見つけたレトロな店や気になるものを手書きの文章とイラストで紹介したものなどが並ぶ。
古い同人誌では、紙質やインクからも年代が感じられる。1964年宇宙気流 SFM同好会(東京)は、SFを題材に、SFマガジンについての講評やSF本の紹介。1973年「未確認飛行物体」は、日本宇宙現象研究会(東京)の同人誌で、三重県に逆円錐形UFOが出現したことが書かれている。旅行記や食について、冷え取り健康法、「ももたろう」「かぐやひめ」を面白くオリジナルに創作した絵本など、テーマも様々で、どれも興味深い読み物となっている。
22日(火)から始まった「シロクマ食堂」(色内3)では、昨年に引き続き開催。小樽・札幌・東京の10人の作家の作品を展示している。テーマは特に設けず、それぞれの作家の個性を生かした作品が展示され、店内を華やかにしている。
中でも、熊澤英俊さんは、クマゲラやネコ、キタキツネなど動物をモチーフにした立体的切り絵に近い作品を出展。光に当てるとまた違った雰囲気が楽しめる。また、KENさんは、昨年出展したフェルト絵本を今年は完成版を展示。メッセージが感じられるという。本間学オーナーは「作家の思いが詰まった作品を、見るだけでも良いので、気軽に見に来てもらいたい」と話した。
花園グリーンロードにある洋風居酒屋「洋食台処なまらや」(花園3)では、小樽・東京・京都の6名の個性ある作品が並ぶ。今回は、同イベントのチラシを店主の妻でイラストレーターの宮澤英子さんが制作した。
今回は、”きのこ”を合言葉に、きのこ好きな作家が、独自の感性できのこを表現している。ほとんどが今回のために作った作品。きのこライターの福本浩子さんは、本をシュレッターにかけ、米ぬかと混ぜ合わせ殺菌し、ヒラタケの菌を植え、小樽の地で、きのこの成長を待つ作品や、きのこと暮す豆本など、どれも個性派。宮澤さんは、「きのこを愛する作家6人が、独自のきのこの世界を繰り広げ、愛の形はひとそれぞれ。展示期間中は、きのこ料理も妄想中」と話した。
今後、ギャラリーと喫茶店「あとりゑ・クレール」(梅ケ枝21)は10月23日(水)から、
カフェ&フラワーショップ「ヴェールボア」(住吉町11)は26日(土)から、
天狗山の麓にある古民家の手作り「Cafe菜はな」(最上1)は11月1日(金)から、
キンダーリープ2階の「カフェレーゲンボーゲン」(住吉4)は11月2日(土)から、それぞれ開催を予定している。
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