“ジャパアニメーション”と、世界でも広がる日本のアニメブーム。日本のアニメの代表といえば「ジブリアニメ」。小樽文学館では、石曽根正勝氏を講師に迎え、12月17日(土)14:00、「あなたの知らないジブリアニメ~アニメーション『てにをは』事始め」をテーマに、文学講座を開講した。
講師の石曽根氏は、長野県出身の34歳。「スタジオジブリ」で2年間勤務し、「もののけ姫」、「となりの山田くん」などの演出助手を勤めた。その後、北海道大学大学院文学研究科へ進学。現在、文学とアニメーションについて研究をしている。文学講座では、「風の谷のナウシカ」、「となりのトトロ」、「天空の城ラピュタ」、「魔女の宅急便」、「もののけ姫」などの宮崎駿監督の作品のシーンを数々取り上げ、宮崎アニメのおもしろさ、魅力、すばらしさを話していった。
「日本のアニメでは、秒8枚の作画で、3コマ撮りのリミテッドアニメーションが使われている。秒24枚の作画のフルアニメーションというものもある。違いは、リミテッドアニメの方は、カクカクした動きで、フルアニメは、ディズニーアニメのような、動きが『ぐにゅっ』となめらかでやわらかい」と、宮崎アニメとディズニーのピノキオを例にあげた。リミテッドアニメは、フルアニメよりも省力でもあるという。
有利な点は、3コマ撮りの中に、1コマ撮りを使えることだと言う。1コマ撮りでも使えなくはないが、なめらかな動きから、急にカクカクした動きになるのは、「不自然」として使われない。「ジブリアニメのすごいところは、この3コマ撮りの利点を使っている。例えば、紅の豚。主人公のネクタイの動き、飛行機のすばやい動きなどのなめらかな動きが必要な細かい作業を施している」
その後、宮崎監督の数々の作品をスクリーンに映し、「絵は止まっている。止まっているものが動く、奥行き、人物の動き・配置など、平面から作られている、この驚きを感じてもらいたい」と語った。
「現在、ジャパアニメーションという、ブームが世界で広がっている中で、観客が良い作品を見極めれる厳しい目が、もっと良い作品を生み出す。どこがすごいのか、何がおもしろいのか、僕はそんなことを、身体で感じてほしい」と締めた。
文学館では、12月24日(土)14:00から、亀井秀雄館長を講師に、「『風の谷のナウシカ』の世界」の文学講座も開講する。