小樽明峰高等学校(最上1)では、「総合表現・演劇コース」を学ぶ3年生卒業公演を、2月23日(土)14:00から小樽運河プラザ(色内2)三番庫ギャラリーで、安部雅浩作「155.8」を上演した。
卒業生となる4名を含む18名がキャスト、スタッフを務め、市民ら40名が演劇を楽しんだ。
興味ある授業を自身で選択する総合表現学習は、野球・テニス・演劇・陶芸・写真など17コースがあり、週1回火曜日13:20から15:00まで学んでいる。
今年で4回目を迎える卒業公演は、初めて既成台本を演じた。昨年の高文連を教訓に、再び暗い話は止めようという意見も出た。暗すぎず、明るすぎず、3年生にとっての最後を飾る公演にと同台本に決定した。
舞台は、父と母が離婚し長年住んだ家を出て、家族が別々に暮らす引越しの最中。そこへ、新しく住む新婚の若い夫婦が現れ、ちょっと風変わりな2人が面白く、客席からは笑いがこぼれた。父と娘、父方の祖母と孫の別れのシーンは涙を誘った。
ふと柱に自分の小さい頃の身長の傷をいくつか見つけた。今の身長155.8cmの傷を、自分で柱に付け涙するシーンでは、もらい泣きした観客も多い。身近にある家族の人間模様が温かくもあり過酷でもある現実を上手く演じ、観客もいつの間にか引き込まれていった。家族の絆や大切さを振り返る作品となった。
同コースを学ぶ学生が多く入部している同校演劇部での「学校シリーズ」の激しい印象とは違った内容を演じ上げ、会場は温かい拍手に包まれた。
同校3年生男子の母親は、「息子の友達が出演するので見に来た。卒業なので最後を見られて良かった。高校生の演劇は初めてであまり期待はしていなかったが、現実にある家族の内容で、見ているうちに感動した」と話した。
父親役の同校3年生・山崎滉也君は、「張り切って心残りにならないように演じた。父親になったことがないので、曖昧な点もあり苦労した。総合表現演劇コースで学び、口下手だったが話せるようになった。先輩や後輩のお陰で成り立っている。進学する大学のサークルで演劇の活動をしたいと思っている」と話した。
母親役の同校3年生・八島里恵さんは、「みんなと話し合って母親役になった。18歳なので結婚も離婚も経験がなく、母の気持ちも理解できなかったので、演技に苦労した。目標を達成できなくても、楽しく出来れば成功できたと思う。2年生から総合表現の授業を学び、その頃の私は、口下手で暗い印象だったが、変わることができ就職も決まった。一生懸命働いて、進学して演劇を続けたいという目標を持ち頑張りたい。夢と目標を与えてくれた。感謝している」と話した。
同校総合表現・演劇コースの吉川勝彦講師は、「55分間演じた。完成度が高く良かったと思う。学校シリーズは身の上をさらけ出す内容で、今回は、他人の身の上話に思いを寄せる劇を熱演した。もっと多くの人に観てもらいたかった。公演の4日前くらいから良い方向へ向いてきた。役もいつも通り生徒達が決め、役作りに苦労するかなと心配な部分もあったが、生き方を変えるはずと思い見守った」と話した。