冬期間閉鎖していた小樽市鰊御殿(祝津3)が、観光シーズンに先駆け、平成24年度の営業を4月7日(土)から開始した。
オープンに向け5日より準備を始めた。7日は、雪が降りあいにくの天候となったが、毎年、4月の第1土曜日を営業開始日としている。
平成19年より恒例となった、初日の7日と8日の2日間の入場者を対象に、鰊の三平汁が、11:00頃から50食限定で振舞われた。
鰊の三平汁には、三浦水産(祝津2)の糠鰊を2日間塩抜きしたものを使用し、じゃがいも、大根、にんじん、こんにゃくなど、野菜がたっぷり入った塩仕立て。鰊御殿で鰊の三平汁を味わい、鰊で栄えた当時の歴史に触れることができる。市内の女性は「美味しかった。自分の家で作らないので、食べることが出来て良かった。鰊のだしが出ていて、骨も気にならなかった」と、満足した様子で話した。
鰊御殿は、明治30年、西積丹の古宇郡泊村に建てられたもので、積丹地方有数の鰊親方の1人で、巨万の富を築いた田中福松氏が所有していた。昭和33年に、現在の位置に復元した。移築後、小樽市に寄贈され、昭和35年、本道の民家で初めて「北海道有形文化財鰊魚場建築」として指定された。現在も梁と柱は、当時のものそのままを使用し、60%は、北海道の広葉樹タモ材を使用している。囲炉裏の上には、煙を出すための吹き抜けに、長い木材をふんだんに使い、親方の富の象徴とも言われ、親方と漁夫が共に生活をしていた。漁夫は、2月になると住み始め、鰊漁の準備のため、網や船の修繕をした。3月から5月までが、鰊漁時期で、「一網千両」といわれ莫大な利益をもたらした。
当御殿内には、鰊漁や鰊加工に使われた道具、生活用品や当時着ていた着物や写真を展示し、当時の様子を知ることが出来る人気観光スポットとなっている。
第4回おたる祝津にしん祭りを、5月19日(土)、20日(日)に開催し、鰊の幼魚の放流式などを予定している。
鰊御殿
営業期間:平成24年4月7日(土)〜11月23日(金)
営業時間:9:00〜17:00(10月16日以降〜16:00)
入館料:大人300円、高校生150円、市内在住の高齢者(70歳以上)150円、中学生以下無料
TEL:0134-22-1038