小樽市立美術館1階で、小樽市文化祭「菊花展」が、10月30日から11月3日まで開催中で、大輪の菊が会場を埋め尽くしている。小樽潮陵菊の会(12名)の会員9名が、176点を出展。今年で56回目を迎え、伝統文化の菊花栽培を継承している。
菊の種類は何百種類もあり、次々に品種改良が行われ、北海道の気候に合った品種を使用する。
大輪1本立て・大輪3本立て・大輪ダルマ作り・大輪数仕立て(5本以上7本以下)・大輪管もの・大輪福助作り・大輪切り花・小菊懸崖・小菊前垂れ・小菊盆栽などの部門に分れ、審査が行われた。
市長賞は、大輪3本立て部門高沢武二さん(精興右近)が受賞した。
大輪部門の花は、5月にさし芽し、花がついてからは、雨水があたらないように屋根をつける。土や肥料を独自で考え、丹精込めて育て、10月30日の午前中の審査に合わせて出展する。咲かないものもあるので、審査の対象になるものを選んでいる。
大輪の菊がずらりと並び、菊の種類の名前は、「精興右近」・「久米満山」・「琴似の誉」と、四文字の漢字が多く、見ごたえのある展覧会となっており、菊に興味のある大勢の人が訪れている。
小菊懸崖作りは、前年の9月にさし芽し、、冬は-5℃以下にならないよう管理し、次の年の展覧会まで育てる。
肥料や土の配合など独自に考える。先端が育ちやすいため、10月に入ってからカットし形を整え、熟練した技術が必要となる。作品となった菊の姿はまさに芸術作品である。一文字菊は、「御紋章菊」と言い、平たい花弁が一重に並び、花弁の数を数えて揃えている。
小菊盆栽は、5月にさし芽をし、根が生えてきたら、岩付け、前に根を3本、後ろに根を2本はわせる。様々な形態があり、経験から得た方法で行い、10月まで見守る日々が続く。
会長の大平曻さんは、会に入って13年、参考資料を読み、独学で出展作品を作っている。今回22点出展し、読売新聞社賞・北海道新聞社賞・文協団賞と、小菊盆栽の中で最高賞の教育長賞を受賞している。
「短日植物(一定時間以上の暗期を持つ光周期を与えないと開花しない)のため、天候不順により満開にならなかった。繊細な作業なので一番気に入ってる菊の作品。菊は、日本の天皇の紋章でもあり、菊への思いがあり作ってみたかった。いろいろ勉強して形が作られた。自然が相手なので天候に左右され、今年は秋の長雨で、花が小さかった。会員の中には、花が咲かない菊もあった」と話す。
石狩から菊花展を見に来た女性は、「石狩でも菊を作っている人が沢山いる。みんな一生懸命に育てている作品だと思う。小菊懸崖を見て素晴らしいと思った。とても見ごたえのある作品展だと思う」と、展示に見とれていた。