旧黒瀬病院として1924(大正13)年に創建され、小樽の大正期を代表する病院建築のひとつとして、市の登録歴史的建造物となっている、小樽花園クリニック(花園3)が、来年3月に閉院するのに伴い、同建物を希望者に無償譲渡することになり、小樽市がホームページ上で、再利用者を募集している。
同建物は、木造2階建、延床面積約760平方メートル。1階に受付、待合室、診察室、手術室があり、2階に病室が並んでいる。1・2階とも中廊下形式で、部分的な改修があるものの大きな変更はなく、創建時の姿をよく残しているという。
同クリニックは、財団法人北海道港湾福利厚生協会が、港湾労働者を対象に運営していた。しかし、患者数が減少し、2000年からは入院患者を受け入れておらず、来年3月の閉院を決めた。
小樽市では登録歴史的建造物であり、解体されるより、無償譲渡での利用者探しを市のホームページ上で始めた。
しかし、同建物の土地は別の所有者があり、建物は無償でも、土地約722平方メートルの借地代が必要。借地代は所有者との話し合いとなるが、現在は月額約75,000円という。
小樽の大正期の代表的病院建築の建物をタダでもらい、土地代を負担するだけで再利用する人が必要となっている。10月末までの募集となっており、希望者が出ない場合は解体されることになり、また、ひとつ歴史的建造物が消え去ることになる。
同協会の小川紀専務理事は、「建物の解体には、約1,000万円は超えると思うので、譲り受けた人はこのことも考えてほしい。再利用者が出て来て、何とか他の施設として利用して欲しい」と、話している。