防波堤や突堤の基礎となる、巨大なコンクリートの箱”ケーソン”進水作業が、9月10日(土)11:00から、小樽開発建設部の小樽港湾事務所構内(築港2)で一般公開された。
1,300トンを超す重量の、コンクリートの巨大な塊(長さ5mX幅13.2mX高さ9.6m、重さ1,368t)が、斜路式ケーソンヤード4本の木製レール124mの上を滑り落ちる。海中に達すると、大きな白波が高く舞い上がり、ゆっくりと海上に浮かび、集まった約280人の観客から、大きな歓声と拍手が巻き起こっていた。
この斜路滑り台方式のケーソンヤードは、第2代小樽築港事務所長の伊藤長右衛門が、当時の軍艦の進水式にヒントを得て考案した、世界で初めての独創的な方法で、1912(明治45)年に造られたもの。小樽港の斜路は、何度か改造されているが、全体の形状は、ほぼ当時のままの姿を残しており、今も現役として活躍している。
小樽開発建設部小樽港湾事務所では、これまで、ケーソンの製作がある場合には、毎年、進水作業の一般公開を行ってきていた。小樽ジャーナルでは、この様子を毎年、写真と動画で発信し、大きな反響を呼んでいた。今年のケーソンは、古平漁港の東突堤に使用するもので、一般公開には多くの人が集まった。
目前で見られた珍しいケーソン進水に、「近くで働いてる友人に、このケーソン進水作業のことを教えてもらって、連れて来てもらいました。すごい迫力でした。一瞬のうちに終ってしまった」、「ネットでケーソン進水作業の公開のことは知っていた。前から来てみたかった。目の前で見てみたら感激した。波がすごかった」、「弟に引っ張られて来たけど、こんなにすごいとは思わなかった。波が本当にすごく、迫力があって感動しました。また、すぐ見られないと思うと寂しい気がする。天気も中止にならないほどで良かった」と、その大迫力に感激していた。
今回のケーソン進水作業の終了で、今後、当分の間はケーソンの製作予定はなく、場合によっては今回が小樽で最後のケーソン進水となる可能性もあるという。
小樽開発建設部・志賀保副所長は、「これから数年間は、ケーソンを必要とする事業がない。必要とする施設があれば作りますが、これからケーソンを必要とする事業があるか判らない。でも、あってほしいと思う。小樽港のケーソンヤードは、1,300トンのものしか出来ないけど、歴史的なものだから残して利用したい。必要とする事業がなくても、保存の方法を考えていきたい」と、歴史遺産の利用保存の方法を探っていくことにしている。