小樽市内で100年も営業を続けてきた、丸井今井小樽店の10月閉店が確定した事で、これまで営業存続要望活動を行ってきた、市や商工会議所、商店街連合会などの連絡会議は、一転してテナント探しへと大きく舵を切ることとなった。
市や商工会議所、商店街連合会などで作られた「丸井今井小樽店の営業存続に向けた連絡会議」は、小樽店の10月閉鎖に対し営業存続の要望や閉店の延期を求め、(株)丸井今井の柴田哲治社長に面会し、7月5日には「直訴」を行ってきた。
しかし、柴田社長から「本社の再建がかかっており、小樽店の10月閉店の延期は不可能で予定通り10月に閉店する」と、営業存続の要望や閉店の延期要請を一蹴して、門前払いを食わされた。この結果、小樽市には、中心商店街の核店舗が空になるという重い現実だけが残されることになった。
丸井今井小樽店の入っているビルは、1990年に丸井今井主導で市街地再開発事業として約130億円をかけて造られた。百貨店やホテルが入り、約4万3,600平方メートルもあるファッションビル。丸井今井小樽店の閉鎖でこのうちの約60%が空きスペースとなる。
同ビルを管理する小樽開発(株)の筆頭株主は丸井今井で、小樽店の閉鎖で同社には巨額の借金が残されることになる。
市は7月11日(月)17:00から「第4回丸井今井小樽店の営業存続に向けた連絡会議」を市役所で開き、現在の状況の確認と今後の対策を話し合うことにしている。10月閉店の重い現実の確認の中で、これまでの方針を大きく変換し、新しいテナント探しへと追い込まれることになる。
しかし、同ビルの駐車場の少なさや水道設備の不十分な構造から、新しいテナント探しの難航も予想される。100年も営業し、市民から「丸井さん」と親しまれた老舗百貨店の閉店で、小樽市街の中心商店街地が空洞化することは、小樽経済崩壊への序曲ともなりかねない。
1990年のバブル期に踊った丸井今井と、それを支援してきた小樽市や市議会、商工会議所などの責任は極めて重いものがある。11日の「第4回丸井今井小樽店の営業存続に向けた連絡会議」は、まずは、名称の変更から始めなくてはならない状況だ。「丸井今井小樽店10月閉店に向けたテナント探し連絡会議」とか「新しいテナントさんいらっしゃーい連絡会議」とでもするのだろうか。