小樽一の観光名所・小樽運河の浅草橋脇にある、ラーメンで鳴らした小樽運河食堂(港町6)が大きく様変わりし、ラーメン店が減り、寿司や丼を扱う海鮮店へと舵を切っている。
小樽運河食堂には、当初、全国の行列の出来る有名ラーメン店主を集め、2001年6月からオープン。博多の一風堂(河原成美店主)、横浜のくじら軒(田村満儀店主)、札幌のすみれ(村中伸宜店主)、池袋の大勝軒(山岸一雄店主)、元祖一条流がんこラーメン(一条安雪店主)、渋谷のタレントのデビット伊東のでび(伊東努店主)の6店舗を中心に営業を開始した。
開店当初は、テレビ・新聞などが大々的に取り上げ、各店には行列が続き、市民も各店の味比べに精を出した。しかし、熱しやすく冷めやすい小樽人気質と、夜間には運河沿いまで足を運ばぬ習慣と、夕方からは観光客も消え、閑古鳥が鳴くようになった。
昨年には一風堂・すみれが撤退し、歯抜け状態になり、開店3年で約2,013平方メートルの大型石造倉庫には、開店3年で寂しい光景が広がった。
このため運営者側はでびや大地に加え、蔵屋を追加した。現在はこのラーメン3店舗と寿司やイクラ・ウニ丼などを扱う海鮮店、海鮮炉端焼き店を加えての営業となっている。
これまでの有名店の撤退と、海鮮店舗(海鮮問屋・たる一・ほっかい丸)のオープンで、同食堂も大きく様変わりした。様変わりした食堂は“進化”したとPRするが、集客次第では“退化”したことにもなりかねないだけに、今後の運営が問われることになりそうだ。
同食堂と道路を隔てた向かいの小樽銀行協会の跡地には、白い恋人で知られる石屋製菓が、屋台村“出抜小路”を4月下旬にオープン予定している。同じようなコンセプトでの出店で、この行方とも合わせ、今春の小樽運河周辺の飲食業の盛衰に市民の興味が寄せられる。
なお、同食堂のHPは、開店当初のまま更新されておらず、開店時の様子が判るという皮肉なアップとなっている。