市立小樽美術館(色内1)3階一原有徳記念ホールで、2月8日(土)〜6月15日(日)に企画展「SCENERY 空の景・宙の景」が開催されている。
接点のなかった沢田哲郎(1935-1998)と一原有徳(1910-2010)は、小樽ゆかりの版画家で抽象的な風景を作り上げたという共通点があり、小樽から世界的に評価された2人を組み合わせ企画展を企画。展示作品は、沢田氏が28点、一原氏は24点を紹介。
タイトルは、沢田氏の作品「SKY SCAPE」の飛行機の上空から見た空の景に由来し、「ABSTRACT LANDSCAPE」と呼ばれSF的世界に例えられた、漆黒の闇と遠近法で描かれた一原氏の作品のモノタイプが、宇宙のようなこの世にはない風景に見えることから付けられた。
同館で2004(平成16)年に、特別展「受贈記念 沢田哲郎シルクスクリーンで描く心の風景」を開催し、終了後に寄贈された作品を今回の企画展でも展示。20年ぶり2回目の展覧会となる。
沢田氏は、武蔵野美術学校第二本科西洋画専攻に入学するも体を悪くして中退し北海道に戻る。人生の転機となるブラジルでのデビューし活躍する。
1952(昭和27)年頃は静物を描いていたが、1974(昭和49)年から本格的にセリグラフに取り組み、美しいグラデーションを版画で表現することに成功。その後さらに洗練され、夕焼けの情景だったり、グラデーションの美しさが印象的で、海岸線に見えたり、岬だったりバリエーションが生まれた。
会場では、季節や時間帯によって変化する空の色を思わせる同氏のセリグラフ、無機的な冷たい闇の空間や宇宙を思わせる一原氏のモノタイプを、それぞれ対比させながら独自の版画表現が堪能できる。
星田七重学芸員は、「2人の作品は抽象画だが風景に見える。内容の接点で20年ぶりに2人を紹介した。世界的に活躍し小樽から出た2人の作品を観ていただきたい」と来場を呼びかけている。
SCENERY 空の景・宙の景 沢田哲郎×一原有徳
市立小樽美術館(色内1)3階一原有徳記念ホール
2月8日(土)〜6月15日(日) 要観覧料
月曜(2/24・5/5除く)、2/12・25・26日・3/21・4/30・5/7・8・9・13休館
◎SCENERY 空の景・宙の景 沢田哲郎×一原有徳(外部)