小樽市総合博物館(手宮1・石川直章館長)本館、回廊展1「昭和の写真から今を見つける」が3月30日(日)まで開催されている。
同展は、立命館大学アート・リサーチセンター「日本文化資源デジタル・アーカイブ国際共同研究拠点」と「小樽市総合博物館”小樽学“の進展を支える古写真データベースの構築と活用に関する研究」の一部を紹介。
館長と蟬塚咲衣学芸員が中心となり、兵庫勝人氏が残した昭和50年代の小樽の写真と、立命館大学学生16名と北海学園大学学生6名が、2024(令和6)年夏に調査した兵庫コレクションから約70枚を選び、撮影された同一構図写真と並べて18組を展示。展示作業には北海学園大学生13名が協力した。
写真家・兵庫勝人氏(1942~2004)は、札幌出身で高校時代を小樽で過ごし、写真専門学校卒業後は、札幌で商業写真家として活躍しながら、小樽市内の路地裏や地域に馴染んだ建造物など、何気ない日常の景観写真を撮り続け、同館に約2千枚を寄贈している。
同コレクションをJR小樽駅から歩ける範囲に絞り、運河周辺・稲穂周辺・花園周辺の3地区に分け、昭和50年代の歴史を感じさせるかつての街並みや今は無き建物、今も変わらない景観など、様々な観点から写真をセレクト。学生が現地に行って撮影した同一構図写真を並べて展示。
同展チラシに掲載の公園通りを象徴するミツウマのアーチが写る写真は、兵庫氏が撮影した写真と現在の写真を上手く繋ぎ合わせている。
蟬塚学芸員は、「絵葉書とは違い、市民の日常風景を撮影した写真が多く、それを見た市民から一緒に歴史を考えたりする機会になるのが兵庫コレクションで、この企画展はその一環でもある。
同じ構図を比べられ、50年前と今との違いを意識し、身近な風景の中でも今と昔の違いに目を向けてもらうきっかけになればと思う」と話している。
同時開催されている回廊展2「地図でつながる街の記憶―私たちの想い出の小樽」では、回廊展1でも使用された地域情報システム(Geographic Information System 略:GIS)は、地球上の様々な地物や事象をコンピューター上で地図化し、情報の関係性や傾向を分かりやすく可視化することができるシステムで、昨年開催されたワークショップで募集した小樽の想い出写真や、夏に開催の「幽鬼の街展」のデジタルアンケート結果を、「想い出の地図化」・「アンケートの地図化」・「気づきの地図化」のテーマで紹介し、アンケートに回答してくれた人の考えなどを共有しようと企画。
昨夏に実施された立命館大学の講義「地理学フィールドワークⅠ」を受け入れ、参加した学生が、回廊展1の撮影地点特定調査のほか、小樽の町を歩きながら、小樽の魅力とガッカリ小樽の2つを探すという課題に取り組み、道外の学生が見つけた小樽も紹介されている。
本館回廊展1「昭和の写真から今を見つける」
本館回廊展2「地図でつながる街の記憶―私たちの想い出の小樽」
1月18日(土)~3月30日(日)9:30~17:00 火曜日(2/11除く)・2/12休館
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