日本商工会議所(小林健会頭)の観光・インバウンド専門委員会(志岐隆史委員長)において、2024(令和6)年度全国商工会議所きらり輝き観光振興大賞の審査が実施され、小樽商工会議所(中野豊会頭)が取り組む「運河を超えて~港を巷に」が、準大賞に値する優秀賞を受賞。
地域の個が光り、他の商工会議所の模範となるような観光振興活動に取り組む商工会議所を顕彰するため、2008(平成20)年に創設され今年で15回目となる。
優秀賞を受賞した同所は、11月1日(金)二次審査に出席し、第一審査を通過した7商工会議所とともにプレゼンテーションを実施。同所からは山埼事務局長が5分間にまとめて行った。
観光の滞在時間が短いことが課題で、物流港としての小樽港の貨物取扱量も減少。港の賑わいが失われつつあり、港を活用して観光客の市内周遊を促すため行政と協力し、港の整備・観光拠点づくり「みなとの観光」を推進。新たな人流と観光消費を生み出すために、関係者と連携して観光まちづくりに取り組んでいる点が高く評価された。
港を巷にの取り組み概要は、2011(平成23)年度から人口減少対策として始まった港湾振興プロジェクトの一環として、“港を巷に”をテーマに振興策を推進。10年にわたる取り組みによって、「運河観光」から「みなと観光」への流れを生み出した。
この流れを拡大すべく、通過型観光から着地型インバンドツアーの造成や運河沿い倉庫の利活用など、運河地区の賑わいづくりに取り組んでいる。プロジェクト実施にあたり、幅広い業種の若手経営者が議論し、市民が参加するシンポジウムも開催し、港湾管理者である小樽市や民間団体の協力も得ながら、地域の関係者を広く巻き込んだ観光まちづくりを進めている。
第3号ふ頭基部を拠点に、10万トン級のクルーズ客船が接岸できる小樽港クルーズターミナルが完成し、今年度は32隻のクルーズ客船が寄港。インバウンドを中心に約6万人が上陸し、市民との交流も生まれ市内中心部も賑わった。
国際インフォメーションセンターを代表施設に、駐車場を整備しみなとオアシス小樽に登録。この影響で、第3号ふ頭基部に半年で35万人の新たな賑わいを創出した。今後は、緑地の整備や観光船乗り場の整備を進め、さらに北運河エリアへの周遊拡大を目指している。
同所・山﨑久事務局長は、「小樽商工会議所の取り組みが小樽の町の将来を考え、港を生かした土台をつくり、運河観光から港観光に小樽の観光の幅を広げるきっかけになればと思う。大型クルーズ船が第3号ふ頭に接岸するようになり、国際インフォメーションセンターに賑わいの拠点もでき、小樽観光のプロジェクトの役割を果たせたのでは」と受賞を喜んでいた。
2025(令和7)年1月29日(水)に長崎県長崎市で開催される、全国商工会議所観光振興大会2025in長崎で表彰式が行われる。
同所では、創設された2008(平成20)年度に「地域資源である運河・ガラスの活用と市民参加による観光振興」で振興賞を受賞。2014(平成26)年度は「食産業の育成を狙ったアグリツーリズム」で奨励賞を受賞している。
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