11月3日(日)文化の日に水天宮(相生町)で、向井流水法会(大原一会長)の伝統行事・向井流水法会傅書授与式を開き、受傅者11名をはじめ、大原一師範・竹原史子師範・各流水法代表・中島正人小樽市教育長など32名が出席。
同水法は、江戸幕府御船手の遊泳の原形で、我国に残る日本泳法十二流派のひとつ。1916(大正5)年向井流宗家直属師範の岩本忠次郎氏が、小樽水泳講習会の講師として来樽し、多くの門弟を育て、その門弟たちが師の志を継ぎ向井流を育てた。
1991(平成3)年には小樽市無形文化財に指定され、1995(平成7)年には100周年の節目を迎え、これを記念して臨海公園に『水心一如』の石碑が建立されている。
もともと戦闘用の泳法で、素朴で無駄な動きを省き、力の消耗をおさえた地味なもの。泳ぎの足は陸上を歩いているような運びで、半分立った姿勢の泳ぎが多い。目標物から目を離さず、素早くまわりの状況の変化に応じられる体位が求められる。
2024(令和6)年度の向井流水法免許受傅者は小樽・帯広11名で、昨年度より3名多かった。向井宗家直属師範の川端信義氏・大原一氏・竹原史子氏・小柴満氏により、会員の心技・技法・貢献度・精勤度を厳しく審査し11名に決定。1人1人に免許と資格書が手渡された。
受傅者を代表して森勢さんは、「心を正し、意を誠にし、業を練り、体を鍛え、もって遊泳の路に精進し、人格の修養を怠らず、生命の尊厳を心し、人命の尊重を旨とす。互いに激励協力し、指導の発展普及に努める」と誓詞5か条を宣言。
大原師範は、「今年から川端・大原・竹原・小柴の師範は、宗家直属の師範として任命され、免許に表記され改めて身の引き締まる思い。この伝書は身を清め心を正して一文字一文字毛筆で書いたもので他には例がない。
いろいろな場面での対処の仕方、水上での戦術まで詳しく書かれている。一貫して流れている精神はまことを尽くすこと。昔の武道水法が、向井流に伝わった時のいろいろな面で役立った精神を、現在の行事に心を傾けてもらいたい。
行事にあたり達成された喜びを、啐啄同時(そったくどうじ)を引用させてもらいたい。師と会員の心が一致することで、一生懸命行事を行い果たした先輩・先生の教えが行事の中にある。先輩が築いた精神は永遠。このことを大事にし、もっともっと発展させたい」と訓示を述べた。
中島教育長は、「向井流水法の飛躍の年、5年ぶりに当会の游法公開が東小樽海岸で実施され、日水連主催の江別市で開催された北海道の水泳の日行事に同法の公開演技を実施し、広島県での第69回日本泳法大会で入賞し、何より普及に繋がった。本日は11名の方が授与され弛まぬご研鑚の賜物」と述べた。
天之巻(師範) なし
地位別巻之二(師範代) 森勢悦子(帯広)
地域別巻之一(準師範代) 井上雪子(帯広) 末永和枝
地之巻(準師範代) 秋山敏子(帯広) 宮内利範
人位別巻(教師) 野本 健 高井哲彦
人之巻(教師) 石川祥子 竹原智久 板敷英知 大森俊明
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