10月7日(月)14:00から、小樽港第3号ふ頭16番岸壁及びクルーズターミナルで、小樽港保安委員会(山本敏之委員長・市産業港湾部港湾室長)及び小樽港危機管理コアメンバーによる2024(令和6)年度小樽港保安対策総合訓練が実施され、同構成員がその様子を視察した。
実践的テロ対策訓練を実施し、同種事案発生時の迅速な情報供給と対応能力の向上を図るとともに、平時及び有事における港湾危機管理体制の強化に資するため、札幌出入国在留管理局・小樽検疫所・小樽産業港湾部港湾室・小樽税関支署・小樽警察署・小樽海上保安部・小樽消防本部の7機関66名が参加。
訓練に先立ち、山本委員長は、「連携こそが第一線の現場において何よりも大切と考える。小樽港においては、幸いにもテロ事案は発生していないが、海外では一般市民を巻き込むテロが毎年にように発生している。
いざという時に備えた訓練を積み重ねることは、小樽港の危機管理体制の強化につながる。クルーズ船岸壁を全面的に供用開始し、すでに多くのクルーズ船が入港。クルーズ船に見立てた巡視船とクルーズターミナルを舞台にテロリストの侵入などを想定して実践する」と挨拶した。
5つの想定訓練の最初は、小樽港入港予定の旅客船に国際指名手配犯2名が乗船していると、札幌出入国在留管理局が情報を入手。港湾室からコアメンバーへ、対応要請及び小樽港保安委員会に情報伝達し対策本部を設置。
出入国在留管理局が、入国審査で乗客のパスポートで本人確認し、同時に税関による手荷物検査も実施し手配犯1名を発見。手荷物検査も拒否し逃走した犯人と岸壁上の警察官が対峙。ナイフを取り出し抵抗する手配犯を制圧し現行犯逮捕。
海上保安本部及び税関が船内検査中に、もう1名の手配犯を発見したが、甲板へ逃走。拳銃を取り出し威嚇され、海上保安部が射撃警告を実施して制圧。現行犯逮捕。
手配犯に突き飛ばされ負傷した乗客の救急要請を受けた救急車が到着し、海上保安本部が負傷者を救出し、救急隊へ引き渡し搬送。
小樽税関支署が船内で不審物を発見し、税関X線車両による透過検査で爆発物が判明。警察爆発物処理班2名が、マジックハンドを操作して爆発物を特殊車両に運び処理。これ以上の脅威はないと判断し、警戒区域を解除し対策本部を解散。訓練は終了した。
港湾危機管理担当官の小岩井直小樽海上保安部長は、「今年の訓練は、4月に供用開始したクルーズ岸壁を活用し、クルーズ客船に国際指名手配犯や感染症疑いの患者が乗船しているとの想定のもと、各機関の業務執行体制・連携体制を確認した。
各機関はそれぞれの職務に応じて適切に役割を果たし、連携も充分に確認できたと思う。各機関の業務の特性によりそれぞれに強みがあると思うが、実際に事案が発生した場合に、それを最大限に活用するためには、本日のような連携が不可欠。日頃の業務においても連携を意識し、いざという時の円滑な対応に繋げてもらいたい」と訓練講評を述べた。
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