小樽文学館企画展 昭和の教育紙芝居展開催

 市立小樽文学館(色内1・亀井志乃館長)で、5月25日(土)から、昭和の教育紙芝居展「さあ みんな、紙しばいの時間だよ!」が始まった。

 

 企画展のきっかけは、2020(令和2)年に小樽市立長橋小学校から紙芝居167冊、市民から2022(令和4)年に、夕張・日吉保育所旧蔵の紙芝居273冊の寄贈を受け、充実した教育紙芝居コレクションとなり紹介したところ、問い合わせが相次ぎ、保育園や小学校で、先生に読んでもらった懐かしの名作や創作童話など、昭和時代の教育紙芝居を、一番古い1952(昭和27)年物から戦後にかけての昭和20年代〜40年代を中心に、貴重な約40点を紹介する開催に至った。

 

 紙芝居の歴史は1930(昭和5)年頃から始まり、街頭芸能で、子どもたちにごく間近で語りかけるという良さに着目した教育関係者から、語りの方法が取り入れられ、そこから生まれたのが教育紙芝居。

 

 戦後は良質な作品を児童生徒に届けたいと、学校へ向けた紙芝居を商売として、手書きから印刷へと変わった。

 

 国語教育的な物語だけではなく、算数・理科・歴史・現代社会などの興味を促す紙芝居もあり、算数の時間の紙芝居「ちよ子ちゃんのおつかい」や、海好き・生き物好きの子どもたちの夢をかなえる内容の「うみのたんけん」など、広範囲な題材で製作された。

 

 アンデルセン童話の代表作「はだかの王様」は、1952(昭和27)年に製作され、教育画劇にも残っていない貴重なもの。1953(昭和28)年の芥川龍之介原作名作童話「くもの糸」(教育画劇製作)、1954(昭和29)年稲庭桂子作の平家物語の熊谷次郎直実の話、田代寛哉が描いた「武士のおこり」(日本紙芝居幻灯株式会社)を、会場で見ることができる。

 

 教育紙芝居の分野を拓いた、高橋五山・川崎大治・堀尾青史・稲庭桂子などについても紹介。

 

 菊池寛原作の名作「恩しゅうの彼方に」は19枚からなり、裏面の脚本には小学校低・中学年用と高学年用に書き分けられていて、珍しい形式のものもあった。

 

 同校寄贈の紙芝居の中には、フランス小学校読本原作「ブームブーム」の紙芝居など、児童が製作した紙芝居4点(1部は透明フィルム)もあり、そのうち3点を紹介。

 

 亀井館長は、「戦後すぐの時代は、生徒になるべく良質な話や新しい時代の自由なものの考え方を心に受け止めてほしいと願って作られた紙芝居だと、情熱がとても感じられた。ぜひ会場でご覧いただきたい」と来場を呼びかけている。

 

 昭和の教育紙芝居展「さあ みんな、紙しばいの時間だよ!」

 5月25日(土)〜8月4日(日)9:30〜17:00

 7/15除く月曜日・7/16・17休館

 市立小樽文学館(色内1)2階企画展示室

 入館料:一般300円、高校生・市内70歳以上150円、中学生以下無料

 関連事業 紙芝居を観てみよう!(無料)

 6月9日(日)紙芝居師・三橋とら氏、たるBOOK

 6月16日(日)紙芝居脚本家・水谷章三氏

 7月13日(土)たるBOOK

 7月20日(土)カミシバイズム、たるBOOK

 8月4日(日)たるBOOK

 水谷氏・たるBOOK・カミシバイズムの実演は事前申込制。

 問合せ:0134‐32‐2388 文学館

 

 ◎さあ みんな、紙芝居の時間だよー昭和の教育紙芝居展ー(PDF)