小樽市総合博物館運河館(色内2・石川直章館長)で、トピック展「没後120年 今村三峯展」が、3月31日(月)まで開催され、小樽在住だった同氏の存在と、様々な作品を残したその人物像とを合わせて知る機会となる。
同氏は、1830(天保元)年3月に伊達郡市柳村(現福島県伊達市保原町)に生まれ、13歳で江戸へ。春木南溟(はるきなんめい)から花鳥画を学び、その後、江戸後半から幕末時代に活躍した画人の熊坂敵山から山水画を学ぶ。35歳の時に、敵山に代わり松前藩の藩主や藩士たちの絵画指南役を務めた。
明治維新後、1878(明治11)年49歳の時、松前出身の小樽の豪商で小樽で唯一人名を冠した町名「山田町」の大地主であった山田吉兵衛の勧めで小樽に移住。
その後、第1回全国絵画共進会(京都後素協会主催)に出品するなど多くの作品を残し、 1905(明治38)年1月76歳の時に小樽で亡くなった。
トピック展は、当館所蔵の小樽移住後に描いた「小樽地図」「小樽港湾絵図」と、札幌在住のコレクター所蔵の130年前に描かれた「美人画」の掛け軸2点を展示。色鮮やかなまま楽しめる。
1880(明治13)年の「小樽地図」は、当時の街並みや港に多くの船が往来している様子が描かれ、1883(明治16)年の「小樽港湾絵図」も同じ構図で描かれていて、海には和船や洋式帆船で活気にあふれていた。
1895(明治28)年3月上旬と陰暦10月(11月~12月上旬)に制作された美人画2点の構図も同じだが、女性が持っている扇子が、3月上旬に描かれたものは扇子だと分かるが、陰暦10月に制作された絵には飾り紐がついていることから檜扇(ひおうぎ)のようにも見え、なぜ桜の絵を描いたのかについても不明で謎が多い作品だという。
担当の鈴木博子学芸員は、「130年前に描かれた美人画ですが、130年の時を経て小樽に戻り、小樽の子ども達にも観てほしい。こんな画家が小樽にいたことを、改めて皆さんに知ってもらいたいと企画させてもらった」と話している。
運河館トピック展「没後120年 今村三峯展」 1月8日(水)~3月31日(月)9:30~17:00
小樽市総合博物館運河館(色内2)第一展示室
入館料:一般300円、高校生・市内70歳以上150円、中学生以下無料