高橋好子展“人生は遊び” 同時開催“いとしいの美術”

 小樽在住の画家・高橋好子さん(97)の個展「人生は遊び」と「いとしいの美術 こどもを描いた絵」が、市立小樽美術館(色内1)2階企画展示室で、1月11日(土)から4月20日(日)まで同時開催され、同氏の企画展は、2007(平成19)年80歳の時に「小樽の美術家の現在、高橋好子展」以来となる。

 

 2021(令和3)年~2022(令和4)年にかけて、同館が寄贈を受けた新収蔵品17点を一同に展示し、インタビュー映像も上映され、画業と合わせて紹介され、鑑賞した人からは「かっこいいですね」や「すっきりしていますね」などの感想が寄せられているという。

 

 2月2日(日)14:00から、山田菜月学芸員が、作品を鑑賞するヒントになればと作品解説を行った。

 

 同氏は小樽出身の画家で、幼少期に弟の死を体験し、「いのち」の存在に疑問を持ち、創作意欲の根底には、真実を知りたい・謎を追いかけたいという好奇心を持ち続け、小樽美術協会創立会員でもある。

 

 画風も年々変化し、1948(昭和23)年~1950(昭和25)年にかけては、小学校教員として教え子の絵が多く描かれ、1980(昭和55)年頃から「空(くう)」をタイトルとした抽象画を多く描いている。

 

 絵のモチーフは、生活で体験した出来事を原点に、部屋の窓から見た空の美しさに感動した気持ちを表現したり、自分の嬉しい気持ちをリボンに表し、空など身近なものをモチーフにして親しみのある絵が多い。

 

 絵具を垂らし込んだ技法を使ったり、命を一貫したテーマで統一感もあると、作品の魅力を強調。すべてのものは空っぽであり、あらゆるモノや現象には実体がないという仏教用語「色即是空 空即是色」を重要なキーワードし、制作のテーマとしている。

 

 すべての物事は流れ動いていて、すべてのものには物体がなく変化するから、苦しみも悲しみも恐れる必要はないという考えで、世の中には全体的な正解はないということに繋がると、山田学芸員は解釈した。

 

 上映中のインタビュー映像には、1978(昭和53)年、生涯忘れられない姉と旅したサロベツ原野での経験について語っている。

 

 また、同時開催の「いとしいの美術 こどもを描いた絵」では、同氏も含めた画家15名の26点を展示。人物画は、その人の経験や見方によって描かれ、小樽でも子どもの絵を集めた展覧会をしてみようと開催。

 

 息子が生まれた記念に描いた工藤三郎氏の作品「幼児像(要)」と「愛児(次男実像)」は、健やかな成長を願い子どもへの愛情が伝わる。

 

 同学芸員が、「子どもの絵は、どんな作家なのかを知る上で重要」と述べた。

 

 高橋氏と付き合いの長い小樽在住の画家・末永正子氏は、「自分の世界が描かれていて、独自の世界を描いている方を応援したいと言われた。揺るがない方で、凛とした作品が多い」と話した。

 

 同学芸員は、「同氏の企画展は2007年に開催以来で、絵とインタビューの動画から同氏の考えや言葉を聞いてから作品を鑑賞すると、さらに楽しめると思う」と話している。

 

 ◎高橋好子展〜人生は遊び/「いとしい」の美術~こどもを描いた絵~(外部)

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