北海道財務局小樽出張所(港町5・清水雅之所長)が、しりべし経済レポートVol.113(令和6年7月~9月期)について、12月6日(金)13:30から記者発表を行った。
清水所長から各項目について説明があり、同期の総括判断は前回判断を据え置き、管内経済は持ち直しているとし、7期連続据え置いた。
個人消費については前回判断を据え置き、持ち直しつつあるとし、主要小売店売上高は、物価高による節約志向から必要な商品を厳選して購入する動きが見られるが、お盆期間(ハレの日)の需要や調理簡単需要(弁当・惣菜・冷凍食品)により堅調が見受けられ、前回よりも上回っている。
エアコンの季節商品は、昨年の猛暑により需要が増加していたが、昨年の反動で今年は売上が減少した。
新車登録・届出台数は、半導体不足解消により昨年の登録台数を上回っているが、一部メーカーでは認証不正問題の影響で、新規受注停止による登録台数減少の動きが見られた。
観光については緩やかに回復しつつあると判断据え置いた。主要観光施設利用者数は、一部統計対象施設が営業していなかったことから、前年を下回っている。
主要宿泊施設宿泊者数は前年を上回っている。物価高の影響で国内客が減少したものの、円安の影響で海外客が増加したとの声があった。
10月以降も引き続き、物価高の影響による旅行マインドの低下の影響から、国内客の宿泊客数は前年を下回ると予想している。
住宅建設は持ち直しのテンポが緩やかになっている。後志管内の新設住宅着工戸数は、7月~9月の合計でプラス5.2%、前年を上回った。新設住宅着工戸数は、貸家とも分譲住宅では前年を下回っているものの、持家と給与住宅が前年を上回っていることから、全体でも前年を上回っている。
公共工事は前回を据え置き、前年を上回った。
生産は持ち直しつつあると判断を据え置いた。水産加工稼働状況は、昨年から続くコロナ5類後の観光客の増加で、土産需要がある一方で鮭の不漁による原材料の不足などから低調となっている。
雇用に関しては緩やかに持ち直していると判断。有効求人倍率は前年を下回っている。なお、有効求職者数・有効求人数ともに前年を下回っている。ヒアリングからは、求人募集の手段として、ハローワーク以外での民間求人媒体やスポットワークを積極的に利用している。
先行きとしては、建設業や製造業を中心に外国人労働者が増加していて、他分野でも採用コストの経費削減を目的に、今後は外国人労働者の採用が増える予想。
特別調査「人手不足解消のための後志地域の取組」で、後志地域ではコロナ5類移行に伴い、人流が回復しつつあるものの、新型コロナウイルス蔓延時に削減された従業員が戻っていないなどから、人手不足が問題となっている。
そこで、人手不足解消のための自治体の取り組みについて調べ、余市町農園応援サポーター「チアーズ」では、農園の人手不足解消を図り、余市町ファンの創出を目的に、2021(令和3)年から余市観光協会がLINEアカウントを利用し、援農ボランティアの募集を実施。2024(令和6)年11月現在で、LINE登録者数1557人・参加人数のべ219人・受入農家5件。
ニセコエリアの冬の観光シーズンの人手不足解消を目的に、ニセコ町×倶知安町×タイミー包括連携協定を締結し、同年度11月現在で、マッチング件数のべ5079人・ワーカー数732人・事業者数132社。小樽市もタイミーと連携協定を締結している。
この他、後志総合振興局の取り組みや、仁木町のハイテク農業教育プログラムに関する覚書などについて紹介。
人手不足解消の取り組みが活発に行われると、当地域の雇用の安定だけではなく、移住人口の拡大や観光客の誘致などによる地域活性化に期待が高まるという。
◎しりべし経済レポートVol.113「令和6年12月発行」(外部)
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