小樽史談会・下村出氏 “法華経と宮沢賢治”語る

 10月23日(水)14:00から小樽市立美術館(色内1)1階研修室で、小樽史談会(浜谷会長)が10月の例会を開き、会員など10名が参加し、会員の下村出さん(73)が「法華経と宮沢賢治」の2回目を熱く語った。

 

 同氏は、北海道教育大学旭川校を卒業後、小樽潮陵高校の英語教員となり、現在、小樽観光ガイドクラブ会員で北海道小樽潮陵高校PTA会長を務める。母親の影響で、子どもの頃、法華経の行者さん(平塚妙龍)に出会い深く法華経を信仰。

 

 5〜6年前から宮沢賢治作品に触れる機会があり、同氏の作品には、その根底に法華経の精神が流れていると確信し、独自で研究を始めその一端をまとめて紹介した。

 

 唯一、お釈迦様が法華経の教えを分かりやすく解説した「法華七喩」という7つの例え話の「如来寿量品第十六」の経名が出てくる作品「ひかりの素足」は、下村氏が思う宮沢三大作品に含まれ、同氏お薦めの作品で、初めて法華経に触れた作品だと説明。

 

 賢治の父は熱心な浄土真宗の檀家で、有名な人を招いて勉強会を開き、賢治も一緒に参加していた。

 

 賢治は、浄土真宗の僧侶・島地大等の「漢和対照妙法蓮華経」を読み、その中の「如来寿量品第十六」は身が震えるほど感動し法華経の道へ入り、家出した東京で、国柱会(日蓮宗の団体)に傾倒し、高知尾智耀から童話や詩の才能を活かし法華経を流布するよう指導され、法華文学を始めたという。

 

 作品に法華経の文字はないが、見事に法華経の考えが昇華され完全に別次元で、底流には法華経の精神が流れていると強調して解説した。

 

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