おたるBOOK Art Week 2024関連企画「アナタニサマのいる街、再び」が、裏小樽モンパルナスを会場に、10月11日(金)〜16日(水)で開かれている。
今回は、これまでのアナタニサマ人形13体と、1955(昭和30)年2月に伊藤順二さんが市内住吉町で遭遇した14人目を新たに展示。会場でじっくり見て心に印象づける機会として、この人形だけ撮影禁止となっている。
会場には、13体が発見された場所が一目で分かる小樽の地図や、アナタニサマが小樽に初めて現れた1919(大正8)年1月19日と1月26日付新聞「日日小樽」の掲載記事も展示。
アナタニサマを制作したRegu Reguは、札幌在住の佳世さんと小磯卓也さんの美術ユニットで、2008(平成20)年頃から活動を開始し、朽ちた剥製や古着の毛皮コートなど廃品を集めて人形を作り、それらが活動する映像作品を制作している。
裏小樽モンパルナス内の別棟で同時開催された、プチジャルダン船見坂による文学の香り漂うカフェやRegu Reguさんのカフェ(10/13・14)では、飲み物や食べ物を提供し、常時満席となる大盛況となった。
アナタニサマは、厳冬の夜に現れるといわれている、古い港町・小樽に昔から伝わる文学の妖精。
薄明りの街灯の下、毛むくじゃらの小さなアナタニサマは、「アナタニ・・・」と一冊の本を差し出すが、それを受け取ってはいけない。ページを開くと読むことが止まらなくなり、その場で凍死してしまうという伝説がある。
それを阻止するため、呪文「ヨミマシタ、ヨミマシタ、モウヨミマシタ」と伝えると妖精は消え去るが、助かった人々は、読んだと嘘をついたことを生涯後悔し、失われた本の幻を追い求め、文学の果てしない魅力に取りつかれる・・・というもの。
小樽では、2023(令和5)年10月にRegu Regu個展「アナタニサマのいる街」を開催し、今年2024(令和6)年にアナタニサマになってプレゼントしたい本をX(旧Twitter)で紹介する「アナタニサマごっこ」、2月2日のアナタニサマの日を記念して、旧運河プラザの中庭でも文学の妖精アナタニサマ展を開催。
7〜8月に市立小樽図書館共同企画「アナタニサマごっこでおすすめされた本の展示」を開催している。
眞柄利香氏が撮影したアナタニサマ発見現場でのアナタニサマ写真をパネルで展示。12体を掲載した2025(令和7)年カレンダーと、掲載漏れした1体をポストカードで販売している。
裏小樽モンパルナスを運営するジーンズショップロッキの平山三紀子さんは、「建物の扉を開けて中に入ると別世界が広がり、改めてアナタニサマの力はすごいと感じた。自分を投影させたり、心を持っていかれるような気持ちに。
ある母親の女性は、アナタニサマの無垢な顔を見て、小さかった頃の子どもと重なり、幸せに健康に育ってほしいと願った当時の思いが蘇り、本当の大切さを思い出させてもらった」と話してくれた。
倶知安から訪れた女性は、「一度見てみたかった。雰囲気を大切にしたいから1人で来た。今回初めてのアナタニサマ。これからも続けてほしい」と感激していた。
最終日の10月16日(水)は12:00〜19:00。
◎関連記事