市立小樽美術館(色内1・苫名真館長)では、「現代日本のガラスアート」と題し、遠くは岡山県から17都道府県の35名のガラス作品をガラスの街・小樽に集結させた特別展が始まった。
7月6日(土)9:15からオープニングセレモニーが行われ、作家の谷祥一氏をはじめ、迫俊哉小樽市長・秋野治郎小樽美術館協力会会長らが出席しテープカットで開幕を祝った。
同展は、精力的に活動している現代日本を代表する作家35名の最新作を一堂に展覧
する貴重な機会で、ガラスアートの多彩な魅力と豊かな可能性を広く紹介するとともに、ガラスの街・小樽の更なる活性化が図れるよう期待。
迫市長は、「35人の精鋭がガラスの街・小樽に大集合した。小樽は、ガラスの街として有名。歴史を遡ると明治時代に浮き球やランプの製造が始まり、1970年代頃から市内各所にガラスショップやガラス工房が開設されるようになり、次第にガラスが街の代
名詞となった。
小樽駅に降り立つと、駅舎はガラスのランプで飾られ、観光客で賑わ
う堺町通りではガラスショップが軒を連ねている。市内のガラス工房は20を超え、作品を常設展示する美術館も複数ある。
当館では、2018(平成30)年に小樽のガラス作家9名の作品を紹介する展覧会を開催した。今回は対象を全国から35名を取り上げ、現代の日本のガラスがどんな状況を示しているがご覧いただく企画」と挨拶。
会場には、魅力あふれるガラス作品35点がずらりと並び、来場者は足を止めて見入っていた。
製作の様子を1人30秒の動画にまとめて放映し、吹き硝子をはじめ、鋳造・キルンワークなどの技法についても知る機会となっている。
10:00からは出展作家11名によるギャラリートークも開かれ、「揺紫泉(Ukifune)」を出展した神奈川県在住の玉田恭子さんは、「吹き硝子でシリンダー状に広げて板ガラスにしてから製作を始め、ガラスの中には、源氏物語の一節を文字で封じ込めている。
前のシリーズはガラスで本を製作し、本の形から物語が紡がれ、今回は沈む揺蕩う(たゆたう)シリーズに。物語が水の中に沈みこんでいくそういった情景を描いている。日本人のもつ感性を遡ると平安時代に、それを紐解くと源氏物語に辿りついた」と語った。
今回の出展者で唯一北海道在住の中川晃さんは、北一硝子出身でガラスを製作して46年。月をテーマにした最新作「Full Moon倶楽部」を出展。
「1個3kgもあり、技法は砕いたガラスを溶かしていくコールドキャスト(鋳造)。顔の表情もガラスを詰め、楽しくなるよう色をできるだけ使っている。タイトルテーマの月は満月・三日月、人間は時間を意識する。その中の一部を切り取っている」と解説した。
来場者は、作家と作品を取り囲むように移動し、ガラスアートの多彩な魅力に触れ有意義な時間を過ごしていた。
35人の精鋭がガラスの街・小樽の大集合 現代日本のガラスアート
7月6日(土)〜9月16日(月・祝)9:30〜17:00(最終入館16:30)
市立小樽美術館(色内1)2階企画展示室
休館日:7/15・8/12・9/16を除く月曜日・7/16(火)・17日(水)8/13(火)・14(水)
観覧料:一般700円、高校生・市内70歳以上350円、中学生以下無料
◎現代日本のガラスアート〜35人の精鋭がガラスの街・小樽に大集合(外部)
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