市立小樽美術館(色内1・苫名真館長)では、3月23日(土)から企画展示室で、北海道書道界の重鎮として、長く指導に携わった書道大家・宇野静山の功績を13回忌の節目に偲ぶ、特別展「人生百年 書道大家宇野静山」を開催。
9:15からのセレモニーで、遺族で臥龍社・宇野雉洞社主、同・吹田由紀子事務局長、北海道書道展招待作家・北川稲谷氏、同館協力会・秋野治郎会長、苫前館長がテープカットを行い、門弟等や関係者約40人が開幕を祝った。
主催者を代表して苫名館長が、宇野静山氏について、「1906(明治39)年に苫前町に生れ、その後、小樽では高校教師となり研鑚を積まれ、北海道を代表する書家に。北海道書道連盟の創設にも深く関わり、1940(昭和15)年に臥龍社を創設し、多くの門下生を育てた。同美術館に多大な支援をいただいている北川稲谷氏も同氏に師事。1977(昭和52)年には北海道文化賞、1987(昭和62)年に地域文化功労者文部大臣賞を受賞。
同展では、長年小樽に住み、2010(平成22)年104歳で亡くなった同氏の代表作を通じて、生涯の歩みを懐古して功績を偲ぶもの。当館での書の特別展は初めてのことで、普段、当館に来ている美術ファンのみなさんにも書の魅力を深く知ってもらいたい」と述べた。
息子の宇野氏は、「父は苫前に生まれているが、小樽が故郷だと言っていた。父の生き方は、逃げない書には厳しい人。どんな時でも勉強ができれば他にはなにもいらない人。人を愛し書を愛し、文化を愛した。文化こそ大事にしなければならない、すぐ壊れるもの。広い視野と文化に対する熱意・文化を育てようと、展覧会を企画したスタッフの情熱に改めて頭が下がる思い」と述べた。
最晩年に書かれた遺族所蔵の「人生百年」をはじめ、漢字を中心に、濃墨・淡墨から篆刻まで多彩な作品66点を一堂に展示し、見応えのある特別展となった。
北川氏は、「先生は線に生きた人で、いろいろな線を駆使して作品づくりをしている。墨が落ちてくるのを筆の速さで調節し、線の旨味を出している。“弥勒菩薩”の作品は、背中を丸めた像を写真で見て、文字を丸めて表現。どの作品の文字も意味合いがある」と話した。
臥龍社会員の1人は、「大酔の作品を見て、大は小さいけれど大きく感じ、酔は酔って笑っている顔に見える。どの作品も頼もしく感動する」と話していた。
特別展V「人生百年 書道大家・宇野静山」
3月23日(土)〜5月6日(月・祝)9:30〜17:00(最終入館16:30)
市立小樽美術館(色内1)2階企画展示室
3月30日(土)13:30〜14:30、関連事業として 遺族・臥龍社による公開座談会「書道大家・宇野静山の思い出」を開催する。
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