中村善策没後40年・記念ホール開設35周年を記念して、12月28日(木)まで開催されている特別展Ⅲ「中村善策と加賀の北前船首・西谷家」に関連し、市立小樽美術館協力会(秋野治郎会長)主催のピアノコンサートが、11月5日(日)14:00から同館企画展示室で行われ、約120名がピアノ演奏を楽しんだ。
コンサート会場となった企画展示室は、中村善策の第2の故郷となる信州の代表作17点と、小樽を題材した「けむり」をはじめとする代表作19点を展示し、ほとんどが80号以上の大作で、改めて素晴らしい作家を見直せる展覧会となっている。
展覧内容に合わせ、北海道にちなんだ楽曲を中心に、小樽出身でニューヨークと小樽を往復しながら活躍しているピアノストの野瀬氏のパフォーマンスが楽しめるとあって、大勢のファンが心待ちにしていた。
令和5年度北海道文化奨励賞を受賞したばかりで、International Songwriting Competition・国際作曲コンペティション(ISC)では、2万5千曲の中からベスト10に選ばれ、3年連続8回目の偉業を果たし、11月14日(火)には札幌コンサートホールkitara小ホールで、受賞記念ソロピアノコンサートを開催する。
演奏前のインタビューでは、「美術館に展示している絵を見てイメージし、アーティスティックな絵にマッチするような楽曲を用意している。国際作曲コンクールベスト10特別賞受賞記念コンサートでは、ニューヨークに戻って作曲した曲や南米の曲など、今日の倍以上の曲を用意しているので、今日はもっと聞いてみたくなるような演奏をしたい」と話した。
演奏に先立ち、同協力会・遠田副会長は、「小樽出身の野瀬氏が北海道文化奨励賞を受賞し、とても名誉なことで、市民にとっても誇り。磨きのかかった栄進氏の演奏を存分に楽しんでもらいたい」と挨拶した。
1曲目は善策氏の絵を見ながら雰囲気で即興演奏。2曲目は雪景色の曲「QuietBlue Snow」、3曲目は代表作「Iomante」、4曲目は、黒松内にアンジュ・ド・フロマージュのパイプオルガンを弾いた時に生まれた「Ange」。5曲目は小樽の曲「ノスタルジア」、6曲目は、原子や物質をイメージしてとリクエストがあって書いた「グラフェン」で、幾何学的なイメージで不思議な音が印象的だった。
野瀬氏は、気さくな雰囲気で曲の合間に演奏曲の説明をしながら、客との距離を一気に縮め、7曲目は馴染み深い「ムーンリバー」。
8曲目は、ロスオリンピックで男子レスリングフリースタイル57kg級で金メダルを取った富山英明氏のドキュメンタリー映画で使われ、2016(平成28)年にマリンホールで演奏された曲、最後は南米シリーズの曲で締めくくられ、野瀬氏のパフォーマンスに大きな拍手が送られていた。
札幌から訪れた女性は、「数年前にラジオで初めて野瀬さんを知り、素晴らしい人だと思い、今日は初めてコンサートに来た。6番目の曲がすごかった。来て良かった」と満足した様子だった。
◎関連記事