北海道新幹線新小樽駅 デザイン3案手交式

 2030(令和12)年度末に開業予定の北海道新幹線(新函館北斗~札幌間)の新小樽(仮称)駅のデザイン3案が完成し、10月20日(金)11:00から、小樽市役所(花園2)2階市長応接室でデザイン提案書の手交式が開かれた。

 

 鉄道・運輸機構北海道新幹線の長谷川正明建設局長、同・塩川純史設備部担当部長、迫俊哉市長と上石明副市長が出席した。

 

 2021(令和3)年5月にデザインコンセプトの作成を依頼し、2022(令和4)年5月18日に、「浪漫薫る 温もりと心地よさを感じる駅~まちの記憶を未来へ」に決定。それに基づいて検討し3つのデザイン案が作成。

 

 長谷川局長は、「デザインコンセプトに基づき3案にまとめた。いずれの案も、小樽の歴史・文化芸術を未来に繋ぐ素晴らしいデザインだと自負している。今回提示した案から1つを選び、推薦してもらいたい。その案をもとに、地元の皆さんの期待に応え、将来にわたって愛され親しまれる駅となるよう進めてまいりたい」と挨拶し、迫市長へデザイン提案書が手渡された。

 

 A案「歴史の継承~小樽の歴史と懐かしさを後世に受け継ぐ品格のある駅~」

 北日本随一の商都として栄えた小樽の街並みに相応しい、趣きのある外観デザイン。ガラス越しに見える屋根を支える構造材はアーチをモチーフとしており、小樽の街並みを思い起こさせる。歴史的な建物にも多く用いられた鉄や金属・石を用いて、落ち着きのある駅舎をつくり上げる。

 

 ◎A案デザインイメージ(JPG)

 

 B案「新旧の融合~小樽のまちの記憶を継承し、未来へつなぐ端整なたたずまいの駅~」

 海運で栄えた小樽の帆船をイメージした歴史性のある外観デザイン。1階には小樽の歴史を感じさせるレンガを、上部には未来感のあるガラスを用いることで、過去と未来をつなぐ象徴を表現。上層部を大きなガラススクリーンとすることで、開放感のある周囲に開かれた駅舎となる。

 ◎B案デザインイメージ(JPG)

 

 C案「自然と温もり~自然に溶け込み、小樽のまちに明かりを灯す洗練された温もりの駅~」

 周辺の自然環境に溶け込むように水すだれをイメージした外観デザイン。ガラス窓をランダムに配置することで、日が落ちると夜景に彩りをそえる小さな灯りを集めた外装へと姿を変え、まちに温もりを与える。金属質で落ち着いた色味の外装材を纏うことで、周囲の風景や季節・時間帯ごとの変化に溶け込むようなデザインとしている。

 

 ◎C案デザインイメージ(JPG)

 

 迫市長は、「基本コンセプトを示し、先ほど提案書を受け、小樽市民にとっても北海道新幹線の開通の実感が沸くと思う。デザイン案について、それぞれにしっかりとコンセプトをとらえ、いずれも小樽らしさに配慮し、すぐれたデザイン案を作成していただき感謝する。

 

 歴史・新旧の融合・周辺の自然、小樽の特徴に配慮したものと思っている。3デザイン案から選び甲斐がある。今後、小樽の新たな駅となるため、市民や観光客にも愛着を持って使ってもらいたい。まずは市民投票を行い、これをもとに北海道新幹線小樽まちづくり協議会駅舎デザイン検討部会の中で検討し、最終的に市として決定したい」と述べた。

 

 長谷川局長は、3つのデザイン案について「港町として栄えた歴史ある小樽の新たな玄関口としてどんなデザインが必要か、コンセプトを反映させながら、新しい顔に相応しく、さらに親しみを持ってもらうにはどうすれば良いか悩んで作成した。A案は小樽の歴史と品格を、B案は港町から帆船のイメージ、C案は水すだれ・未来へ繋ぐ一番目新しいデザイン」と回答。

 

 迫市長は、「小樽は歴史のイメージがあり、歴史を強調していると感じている。3つ目の水すだれは、旧奥沢水源地の階段式溢流路をイメージしたもの。2つ目は両方を融合した将来を思考した近代的な駅で、形の違う3つの案を示してもらった。市民にとっても改めて新幹線の開通・地元に駅ができることを、身近に感じてもらうきっかけになると思う」と話した。

 

 工事が遅れている件について迫市長は、「正式に発表されたものではないので、今後の様子を見極め、我々としては2030(令和12)年の開業に向け、これまで通りに進めてもらいたい」と回答した。

 

 駅が中心部より遠いことについては、「市内中心部より4kmほど離れている。どういった形で駅舎をどう利用するか、戦略部会の中で検討している。まちづくりが可能かどうか、開通までに協議していきたい」と答えた。

 

 駅舎デザインの市民投票は12月を予定し、インターネット投票など、児童・生徒からの投票もあり、投票方法も複数用意する。その結果を、北海道新幹線小樽まちづくり協議会デザイン検討部会で検討し、最終的に1つに絞り込む予定。

 

 北海道新幹線札幌延伸の進捗状況は、2012(平成24)年6月に土木工事の認可を受け、用地取得において94%、土木工事はトンネル工事から着手し、全線212kmのうち80%にあたる約170kmでトンネルの70%が掘削済み。

 

 トンネル以外の高架橋などの工事は20工区あり、つい先日すべての工区が契約され、その半数の工区が工事着手し、土木工事最盛期を迎え完成に向けて工事を進めている。

 

 ◎北海道新幹線 新小樽(仮称)駅のデザイン案について(外部)

 ◎JRTT鉄道・運輸機構(外部)

 ◎関連記事