小樽公園顕誠塔前広場で第78回招魂祭 合祀者新たに4名

 八重桜が咲き誇る小樽公園(花園5)の顕誠塔前広場で、5月15日(月)11:00から、小樽顕誠会(堀口雅行会長)が第78回招魂祭を開いた。

 

 市内で一番早い祭りとして知られる招魂祭は、雨が降ると言われるジンクス通り、時折小雨がぱらつき、小樽住吉神社伶人会の雅楽が演奏される中、斎主小樽総鎮守住吉神社の星野昭雄宮ら神職3名が神事を行い、新合祀者4名の遺族、堀口会長と迫俊哉顧問(市長)、小樽市戦没者連合遺族会の寅尾孝昭会長、役員・関係者ら約50名全員が玉櫛奉天を行い、故人の遺徳を偲んだ。

 

 同公園に聳え立つ顕誠塔は、1923(大正12)年5月に建てられ、今年で100周年を迎えた。塔の高さは約17m、先端には金鵄(きんし)が羽ばたき、御影石で作られた道内有数の慰霊塔のひとつで、戦死者や小樽に貢献した人を慰霊。

 

 1945(昭和20)年からは郷土小樽市に貢献した人を合祀し、2016(平成28)年からは、参列者遺族の高齢化と運営担当者の負担を軽減し、末永く祭典を継続するために本祭1日に縮小した。

 

 2023(令和5)年度は、地域医療の発展に多大なる貢献した者、市議会議員として市政運営に参画し発展に寄与した者、民生委員として資質向上に努めた者、市職員として行政の進展に多大な貢献をした者4名が新たに合祀され、既合祀者3,484名と郷土功労者1,245名を合わせた4,729名を慰霊した。

 

 迫市長は、「少子高齢化や人口減少が進む中にあり、今から歩むべき道もまた険しく困難なものであるが、私どもはここに決意を新たにし、あなた方が築かれた偉大な歴史と伝統を踏まえ、郷土小樽の輝かしい未来を築くために知恵を出し努力を重ねて参る所存」と、慰霊のことばを述べた。

 

 堀口会長は、「建立以来、忠魂碑と市民に親しまれていたが、戦後は、顕誠塔と改め、産業・郷土文化の発展に貢献された方も合祀されるようになった。

 

 長年の風雪により劣化が激しく、大規模な改修が必要になった。見積では500〜600万円が必要で、合祀者遺族・協賛企業・各町内会・見学者・商店街連合会・小樽商工会議所・役員など、関係各者に改修費の寄附をお願いしたところ、多額の寄付金を賜ることができ、感謝を申し上げる。

 

 改修にあたっては市からの支援が必要となり、今年度中の竣工を期待している。建立100年の年に大規模改修ができるのは、次の100年に向けて新たな年として喜ばしく感じている。

 

 多くの市民に参拝に訪れてもらえるように環境整備に努め、小樽市の発展に尽力寄与されてきた諸先輩の功績を次の世代に伝えて参りたい」と挨拶した。

 

 奉納行事のひとつ、日本詩吟学院小樽支部岳船会3名の奉納吟「小樽功労者の御霊に捧ぐ」が披露された。

 

 現在の顕誠塔は、塔壁の剥離や石垣の倒壊があり危険な状態。1月に合祀者遺族と関係者に支援を依頼し、小樽商工会議所からの寄附と併せて約300万円が集まった。大規模工事費は5〜600万円を予定し、小樽市からの協力を得て今年度中の工事を見込んでいる。

 

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