小樽・朝里のまちづくりの会(永井邦雄会長)は、朝里川遊歩道に連なる遅咲きのカンザンが見頃となったながら公園と新光南会館を会場に、小樽を中心に活躍している現代
美術作家11名が集結する現代アート展を5月13日(土)に開幕した。
いつもの公園に巨大なアートが出現。現代アートを身近に鑑賞できる展示会がス
タートした。
地元の作家とともに現代アートをテーマに、地域の活性化と住民の住み良い環境づくりを目指し、3回目となる今回は、現代アート作家11名による屋外展示31点と、新光南あじさい町会の住民による「巷の巨匠展」も同時開催され、見事な現代美術を身近に親しむ貴重な機会となる。
開幕を祝い13日10:00からオープニングセレモニーを開き、永井会長と迫俊哉
市長が挨拶を行い、苫名真小樽美術館館長が、「野外で誰でも立ち寄れる場所に、地域住民が主導された極めて珍しい現代アートの展覧会で、作家自ら作品の説明をすることにも特徴がある。3回目で一旦締めくくるとのことだが、継続されることを願う」と述べた。
出展作家であり同展アートディレクターを務める阿部典英氏は、「私たちのものづくりは、1年のスケジュールの中でとても力が入っている。これだけの作家が集まり、平
面・立体・版画・インスタレーション等、多種の作品が並んでいることが大きな特徴で、市民の作品と一緒に展示し、子どもたちのワークショップも実施している。
日本はもちろん、世界で発表している人もいて、朝里の地域を基盤に、小樽・北海道・全国・世界への美術を目指して頑張りたい。これからの芸術文化を担う子どもたちの成長のために、小樽から新しいピカソを誕生させたい」と述べた。
11:00から作家自らが作品の前で解説するアーティストトークが開かれた。
トップバッターの江川光博氏は、ながら公園に、2023(令和5)年制作のミクストメディア作品「PINK A,B,C,D」を発表。
4点のはずだった作品が5点になったことについて、「環境が良くてもう1枚生まれた。下から湧き上がる想いを表現したかった。最初はピンク色から色付けしたが、途中で色が変化した」と、変化について語った。
佐藤正行氏は、「Monologue」と開幕前日の夜完成した「無題」を発表。「この環境に合わせインスピレーションが生まれてくる。抽象的ではあるが、見る人が自由に鑑賞し、素材そのものを活かし、防水にはレジンを使った。朽ち果てた竹や軟石も使用した」と解説した。
会館内へ移動して、版画家の高野理栄子氏が「Ame」4点、大谷美由起氏が「s/s collection」4点、末永正子氏が「Season」1点を出展。司会者の佐々木秩氏が3名に対し、「どうしてこんな表現に至ったか、物を見てそのままに描かずに、なぜ抽象的な表現に至ったのか」と質問した。
大谷氏は、「具象画を描いていたが、短大で描きたい色や形で良いと言われ、〇や円
の強弱を表したいと思った。このグラデーションが好きとか、部分に寄り添って見ていただきたい」と話し、末永氏は、「デッサンの世界から抜け出せない時期があり、どうすれば面白く楽しくできるか、年齢を重ねるにつれて変化した。具体的なものを見て、自分を通して表現するとこのようになる。今後は、見る人に何か感じる物を制作していきたい」と述べた。
高野さんは、「版画なので何回も刷れるが、特殊な技法なので5枚しか刷れない。布
や糸、日常で見かけるのが貼ってある。版画のため逆転していることが、今まで描いていたものが反対となり面白いと感じた。
作品は、小樽のどこかで見たことのある風景を描いている。雨の日が子どもの頃から好きで、雨の堺目を体験したことにより、雨のことが気になっている」と話した。
14日(日)は、10:30~12:00にアート体験&ワークショップ「あじさい広場」、13:00から、阿部典英氏・Kit_A氏・上嶋秀俊氏によるアーティストークを予定し、15日(月)13:00からは森万喜子氏・福江悦子氏のアーティストトークを予定。19日(金)は、展示会場の夜間開放「キャンドルナイト」を実施し、20:00まで鑑賞可能。
第3回朝里川桜咲く現代アート展
5月13日(土)~21日(日)10:00~17:00(19日〜20:00)
ながら公園・新光南会館(新光5) 入場無料
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