市立小樽美術館(色内1)1階多目的・市民ギャラリーで開催中の「小樽運河の輝き 加藤貢と横山文代」関連事業のトークイベントが、3月4日(土)14:00から展示会場で開かれた。
加藤氏は、藤森茂男氏の言葉から運河を描くきっかけとなり、妻の藤森茂子氏と娘の五月氏をはじめ、加藤氏の同級生10数名を含めた約30名が、2人の作家の運河に対する思いに聴き入った。
同企画展は、加藤氏と横山氏の鉛筆画と油彩画、埋め立て前と後の運河の対照的な作品を楽しめるもので、2月21日(火)から3月5日(日)まで開催している。
トークイベントは2月25日(土)に続く2回目で、横山氏は、「小樽運河は敷居が高くて描けなかったが、白日会の先生から自分のふる里を描けないのは悲しいと言われた。
人力車のお兄さんたちの仕事ぶりを見て、新しい小樽・生れ変わった小樽を描こうと、2013(平成25)年のスケッチを基に描いた2020(令和2)年の作品が運河デビュー作である」と、展示作品について語り、「建物や船、現実的な組み立てが難しい。まちを描く・小樽を描くことは、存在を描くもので、意味のあること」と述べた。
一方、加藤氏は、「ラジオから偶然聞いた、藤森茂男氏の運河埋め立て反対への思いに衝撃を受け、小樽運河を写真に収め、いつか鉛筆画でどんよりした空・臭い・空気や想いも表現しようと、鉛筆画を独学し、デッサンに1ヵ月、5ヶ月かけて大作「はしけ船」を完成させた。
藤森先生に頑張れと押された思いがして、ぜひ見てほしかった。暖かくなったら小樽の古い銀行や建物の写真を撮り、白黒で表現したい」と、新しい挑戦にも触れた。
藤森茂子さんは、「主人は小樽運河は本物だと良く言っていた。加藤先生の運河は先人たちの汗と涙を感じながら描かれたもの。横山先生は、お若いのでこれからの新しい運河。
おふたりとも本物。今後の活躍を期待している」と話し、五月さんは、「素晴らしく感動した。加藤先生は繊細で人柄も感じられ、モノクロの世界で、運河保存運動の時は、小さくて朧気にしか覚えていないが、あの頃を想像するとモノクロで運河がどんよりしていて、見事に表現されていた。
また、横山先生の作品は、とってもきらきらされていて生き生きしている。一歩先に進んだ小樽運河で、次の100年を迎える小樽運河を、未来の子どもたちに対して愛情を持って描かれ、横山先生の人柄が現れている」と述べた。
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