北海道の文化の振興・普及に資することを目的として、1949(昭和24)年に創設された北海道文化賞と文化奨励賞の2022(令和4)年度の受賞者が、11月17日(木)に発表され、小樽出身・小樽育ちの美術家で小樽市立銭函中学校教諭の上嶋秀俊氏(56)が北海道文化奨励賞を受賞。(写真提供:上嶋秀俊氏)
中学校での美術教諭として後進の育成に取り組み、地域の野外美術展の運営など、北海道における美術文化の振興に貢献していることが評価され同氏は、子どもの頃から画家である父・俊夫氏の影響を受け、ものづくりや図工・美術が好きな少年で、高校生の時に美術部に入り、歴史にも触れ幅広く興味を持ち、美術の道に進むことを決めた。東京造形大学造形学部デザイン学科を卒業し、現在は銭函中学校で美術を教えている。
北海道文化賞は、札幌市の画家・佐藤武氏(74)、栗山町の詩人で児童文学者の友田多喜雄氏(91)、美瑛町の陶芸家・南正剛氏(70)の3名。文化奨励賞には、上嶋氏と札幌市の画家・八子直子氏(55)が選ばれ、2021(令和3)年度までに、文化賞231件・文化奨励賞182件を表彰している。
上嶋氏は、「受賞の発表を聞かされ1週間が経ち、落ち着いた状態ではあるが、正直びっくりした。同賞を諸先輩方が受賞されている姿をこれまでも見て来て、自分の中で意識したこともなく、力のある方が受賞されていてると他人事だと思っていて、まさか自分の身に降りかかるとは思っていなかった。
この受賞で様々な活動を振り返る機会にもなり、多くの諸先輩の声かけや発表の様々な機会をいただき、作品や展示を通じて学ばせていただいた結果だと思う。多くの方々の協力や愛情、活動を支えてくれた家族や友人に感謝している。これからも、絶えず吸収して、立ち止まることなく制作していきたい。
今の世の中は、昔よりもはるかに効率性や結果が求められ、結果を大事にしていると感じる。幸せはそういうもので測れるものではない。生活をすることに一生懸命に為らざるを得ないのが現状で、生活を楽しむ余裕も失われてしまい、すごく悲しい。本当に大事なことは、自分自身が心で感じ取れること。
時間や自分の感情を大事にして、表現という形で人に伝えたいと思う。市民や子どもたちにも、自分にとって大事なことや気持ちを大切にしてもらいたい。
文化はそういうものを感じとれるもの。人々の生活の中に大切にしてほしい。この受賞だけにとらわれずに、幅広く文化的なものを後継者に継続できるよう活動していきたい」と、受賞した気持ちと今後について話していた。
2011(平成23)年頃から現在の作風に変わり、自然の持つ生命感や命・水などをテーマに、空間を使ったインスタレーション作品を発表している。
若手アーティストが集まるTHEY展や2019(平成31)年開催の市立小樽美術館40周年特別展、2021(令和3)年の舞踏と美術、屋外では、2011(平成23)年から春香山山麓のハルカヤマ藝術要塞、2021(令和3)年に新光5のながら公園で開催した朝里花咲く現代アート展など、地元での発表の機会にも積極的に参加している。
◎令和4年度北海道文化賞及び北海道文化奨励賞の受賞者決定について(外部)
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