大雨による土砂災害を想定 小樽市総合防災訓練

 

 

 小樽市(迫俊哉市長)は、防災の日の9月1日を含む防災週間(8/30〜9/5)に合わせ、8月31日(水)13:20〜16:20に、豪雨の影響による雨水施設からの溢水・影崩れの土砂災害被害などを想定し、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、基本的な感染対策を徹底した上で約200名が参加し、2022(令和4)年度小樽市総合防災訓練を行った。

 

 2021(令和3)年度から消防庁舎6階講堂(花園2)で実施されている災害対策本部訓練と、市民消防防災研修センター(天神2)を利用した現場実働訓練で、情報伝達・共有及び対応方法を確認する訓練を実施した。

 

 これまでの地震や津波の訓練想定を、初めて大雨による土砂災害に想定し、これまで降ったことのない395mm/24Hもの過去最大雨量として対策本部を設置。高齢者等避難発令・土砂災害警戒情報発表により、住民に避難指示を出し、後志総合振興局に自衛隊の災害派遣要請を要求し、市内30カ所の避難所を開設した。

 

 13:00時点での被害状況は、床下浸水8件・側溝等の溢水25件・法面当の崖崩れ3件、新型コロナウイルス感染者100名。

 

 災害対策本部訓練では、延べ最大約80名が参加し、自衛隊と開発局によるドローンで状況把握し、55型モニターで確認。各対策部等からの報告を受け、被災事象等に応じてその対応を判断し現場に指示した。

 

 災害対策本部と連動した実働訓練では、雨が降る悪天候の中、大雨により国道393号線法面が崩れたことを想定し、小樽警察署と小樽市消防本部による避難指示を広報し、NTT東日本による避難所の通信を確保。北海道電力ネットワークによる応急復旧送電など、13機関等が出動して行われた。

 

 土砂災害により被害に遭ったバスの乗客の要救助者訓練では、小樽開発建設部・第11特科隊・小樽警察署・小樽市消防本部・同消防団が参加して救出活動を行いし、小樽市立病院DMAT(災害派遣医療チーム)による負傷者の対応や日本赤十字社による応急措置を行った。

 

 土砂倒壊建物障害物除去救出訓練では、小樽消防本部や消防団が障害物を除去し、瓦礫の下から要救助者を発見し搬送。

 

 ガス漏洩事故対応応急対策訓練では、北海道ガスと消防本部が連携してガス漏れをキャッチし安全に修復。断水による応急給水活動では、小樽市水道局による臨時給水所を開設した。

 

 これまでの訓練ではなかった災害関連情報の対応として、市民等から被害の情報に対する電話対応や、その後、関係対策部に伝達する訓練も行われた。

 

 訓練終了後、実働訓練参加機関の小樽開発局は、「これだけ多くの機関が参加し、実際の災害に近い形での訓練は、防災力の向上に繋がり素晴らしい。想定外の線状降水帯など豪雨災害を想定し、見たことのないいろいろな実証が起こり意欲的で勉強になった。15:00以降の降雨の予測があればと感じ、開発局の排水ポンプ車などの派遣も考えていきたい」と話した。

 

 小樽市医師会は、「新型コロナウイルスは、医師会において災害と捉え、インフルエンザも一部で確認され、両局面での感染が広がる可能性がある。今回のような災害があった場合、避難所ではさらに二次災害として大量発生する可能性がある。検査室もしくは患者さんを受入られる仕組みも加え、情報を速やかにいただけると上手くいくのでは」と述べた。

 

 迫市長は、「まさに地方自治体の危機感、防災力なり消防力を強化することが必要となる。総合防災訓練は、2年前までは現場で訓練し、テントの中で訓練の様子を見ていたが、訓練されていない災害対策本部の組織力をどう上げていくか、昨年から現地訓練と本部の運営訓練を実施している。

 

 ほかに避難所運営訓練も実施し、冬期間の訓練も合わせてコロナ対策もしっかりと行い、まだまだ充実させなけらばならない。

 

 4年前の胆振東部地震発生時に災害対策本部を立ち上げ、ブラックアウトが中心となった。市民に対しての情報伝達が大きな課題として残った。

 

 実際には、一時に沢山の情報が集中して、どうさばくかが現実的な課題としてあり、どう対応していくか、私たちのこれからの宿題で訓練は十分ではないと認識している。見えた課題の検証を重ね、さらに実務的な訓練に成長させたい」と講評を述べた。

 

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