3年ぶりのWAVE展 作家12名の多彩な表現

 4月20日(水)~24日(日)、小樽にゆかりのある個性豊かな作家が集うWAVE展が、市立小樽美術館(色内1)1階多目的・市民ギャラリーで3年ぶりに開催されている。

 

 同会は、1988(昭和63)年に、競作の場を希(ねが)う13人の自由な個展の集合体として結成され、2005(平成17)年に“新しい波”を小樽から発信しようと、「Wave(ウェーブ)」とし活動を続けてきた。

 

 コロナ禍により2020(令和2)年と2021(令和3)年の開催を断念。今回は12名が集い、平面や日本画・版画・インスタレーション・平面絵画・油彩など、それぞれに得意な技法で表現した作品39点を展示している。

 

 前日に搬入された作品を、会場にどう展示するか試行錯誤するうち、ぴたりとあてはまり、順路によっては物語になっているという。

 

 版画のナカムラアリさんは、ボールペン画2点と立体1点を、影や反射も魅せるインスタレーションで表現し、タイトルは「大人の概念/子どもの実体」。

 

 ボールペン画に初挑戦して10日で仕上げたが、その作品の土台には時間をかけた。建築資材に細かく切った半紙を張り込んだ180cm×90cmを2枚に、男の子と女の子を描いた。この作品の根底にはウクライナ侵攻があり、戦争は大人がしていること、秩序ある大人でいてもらいたい思いが込められている。

 

 異国情緒溢れる大作など3点の油彩作品を出展した福原幸喜さんは、パリのルーブル美術館につながる芸術橋で、欄干に鍵をかけ流し永遠の愛を誓う橋「ポンデザール」を描いた新作を発表。

 

 日本画のさとう綾子さんは、大胆な花やいっぱいの花の作品を発表。自分の思いを花に託して命の輝きを表現し、鑑賞した人の心も元気になればと願いが込められている。

 

 阿部典英さんは、混合技法で平面作品を発表。春の季節感溢れる水芭蕉をモチーフに、色とりどりのワクワクするような葉を散りばめ、「自分の水芭蕉を表現した」と話した。

 

 紙の性質を理解して白く線が出るように裂いたり、紙を折りヤスリで一つ一つの葉脈を表現し、ビー玉に色をつけて転がし曲線を描いた。

 

 今回、代表を務める坂東宏哉さんは、珪藻土・花崗岩・アクリル絵の具を使った新作ミクストメディア「Invasion(侵略)」(273×182)を発表。

 

 「はじめは侵略のイメージで作っていなかったが、製作途中で戦争が起こり、そういう思いで作っているうちに、何か襲われるような暗いイメージに変化していき、自分の気持ちが無意識のうちに作品に現れ、見る人へのメッセージを考え題名にはこれしかないと思った。

 

 最近では一番大きな作品」と述べ、3年ぶりの開催について、「小樽に住んでいる方やゆかりのある方のグループ展。それぞれがいろいろなところで活躍している作家が集まり、自分の作品と他作家の作品と競い合って会場を盛り上げる作品展。

 

 来場される方は、作品から受ける力やメッセージを受け取ってもらえると、とても嬉しい。いろいろな作家が集まっているので、楽しんでもらえると思う」と話した。

 

 ウエーブ12人

展 WAVE
 4月20日(水)~24日(日)10:00~17:00(最終日16:00)
 市立小樽美術館(色内1)1階多目的・市民ギャラリー 入場無料

 

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